最近、法人研修だけでなく、個人の方向けにAIオンラインマンツーマンサービスを始めました。
AIについて「右も左も分からない」という方に教える機会もあるのですが、実際にやってみると、1回教えるだけでもかなり使えるようになる方が多いです。
もちろん、AI活用には慣れや経験も必要です。ただ、ChatGPTの基本的な考え方や機能を知るだけで、世の中全体で見れば一気に中級者に近づけるのではないかとも感じています。
今回はChatGPTに特化して書きますが、GeminiやClaudeなどでも近い考え方は応用できます。
AI活用には「レベル上げ」と「装備変更」がある

AIの活用には、大きく分けて2種類あると感じています。
1つ目は、プロンプトエンジニアリングのような、AIそのものへの質問の仕方が上手になることです。これは、その人の考え方、論理的思考力、質問力、言語化力などによって差が出ます。同じChatGPTを使っていても、何を聞くか、どう聞くか、どこまで前提を整理できるかによって、返ってくる答えの質は大きく変わります。
もう1つは、ChatGPTなどのAIサービスに搭載されている機能を使いこなすことです。たとえば、メモリ、プロジェクト、GPTs、Deep Research、画像読み取り、音声入力などです。これらは、考え方の訓練というよりも「知っているかどうか」「使ったことがあるかどうか」の差が大きい部分です。
この2つの違いを考えたとき、ドラゴンクエストに例えると分かりやすいなと思いました。
ドラクエでキャラクターを強くする方法は、大きく分けると2つあります。1つは、レベルを上げて能力値を伸ばす方法。もう1つは、強い武器や防具を装備する方法です。
これはChatGPTの活用ともかなり近いです。
論理的思考力や質問力を高めることは、レベルを上げて基礎能力を伸ばすことに近いです。一方で、メモリ、プロジェクト、GPTsなどの機能を使えるようになることは、装備を整えることに近いです。
初心者でも「装備」を整えると一気に強くなる

ドラクエでは、初期装備のままでもレベルを上げれば強くなれます。レベル99まで育てれば、初期装備でもかなり高い能力を持つことができます。
ChatGPTでも同じで、論理的思考力や質問力が高い人は、シンプルな使い方でもかなり良い結果を出せます。
一方で、レベルが低くても装備を整えることで、一気に戦いやすくなることもあります。ChatGPTでいえば、初心者であってもプロジェクト機能を使って前提情報をまとめたり、自分専用のGPTsを作ったり、メモリを活用したりするだけで、毎回ゼロから説明しなくてよくなります。
たとえば、毎回ChatGPTに自社の事業内容や自分の立場を説明している人と、あらかじめプロジェクトやGPTsに背景情報を持たせている人では、同じ質問をしても使いやすさが変わります。
初心者の方にとって重要なのは、最初から完璧なプロンプトを書けるようになることではないと思っています。
まずは、ChatGPTを「ただ質問に答えてくれるチャット画面」ではなく、自分の仕事や目的に合わせて使いやすく整えられるツールだと知ること。これだけでも、かなり使い方が変わります。
レベル上げだけでも、装備だけでも限界はある

もちろん、装備だけ整えれば十分というわけではありません。
ドラクエでも、どれだけ強い装備を持っていても、レベル1のままではHPやMPが低く、素早さも足りません。強い敵と戦うには、やはり基礎能力も必要になります。
ChatGPTでも同じです。メモリやプロジェクトやGPTsを使えば便利にはなりますが、そもそも何を実現したいのか、どんな前提を渡すべきなのか、出てきた答えをどう判断するのかは、最終的に人間側の力も必要です。
そのため、AI活用では「レベル上げ」と「装備変更」の両方が大事です。ただし、最初の一歩としては、機能を知って装備を整える方が、早く価値を感じやすいのではないかと思っています。
実際、AIを本業にしている自分にとっても、様々なプラットフォームで次々と追加される機能についていくことは簡単ではありません。
最近のLLMの進化を見ていると、ある程度の思考整理はAI側が補ってくれる部分も増えています。一方で、どの機能をどう使えばいいのか、どんな場面で使うと効果的なのかを知ることの重要性は、むしろ高まっているように感じます。
そして、機能を上手に使えるようになると、「もっと使ってみたい」という気持ちも生まれます。これはAI活用を続けるうえで、とても大事なことだと思っています。
ドラクエ11で実際に比較してみる
最後に、ドラクエ11の実際の例で比較してみたいと思います。
比較の前提として、種による能力強化やスキルパネルでの常時上昇分は除外します。装備は+3まで強化した状態とし、初期状態は「イシのつるぎ」と「布の服」の組み合わせと設定しました。
いわゆる「最強」の定義は様々ですが、今回は物理的な攻撃性能に特化した両手剣スタイルを採用します。具体的には「ひかりの大剣+3」に「勇者のかぶと+3」「勇者のころも+3」を合わせた構成で検証してみます。

トータルで見れば、Lv99かつ初期装備の状態が圧倒的という結果になりました。体力や魔力、素早さといった基礎パラメータの差が大きすぎるため、実戦でのパフォーマンスは高レベル側に軍配が上がります。
一方で、興味深い点もあります。防御性能と魅力の数値に限っては、Lv1でも最強装備を身につけることで逆転が可能です。
さらにアクセサリーを考慮し、「ごうけつのうでわ+3」を両腕に装備させれば、1つにつき攻撃力が20上乗せされます。そのため、Lv1であっても攻撃力401に到達します。この特化構成なら、攻撃の数値だけであればLv99の初期装備時を上回ることが分かります。
ChatGPTでも、まずは「戦える感覚」が大事
この比較から分かるのは、やはりレベル上げは重要だということです。
基礎能力が高い人は強いです。論理的に考えられる人、目的を整理できる人、質問が上手い人は、ChatGPTを使っても強いです。
ただし、装備にも大きな意味があります。
レベル1でも、装備を整えれば一部の能力では高レベルの初期装備を超えることがあります。ChatGPTでも、初心者であっても機能をうまく使えば、特定の作業では一気に成果を出せることがあります。
特に最初の段階では、「自分にも使える」「これは便利だ」と感じられることが大事です。
最初からレベル上げだけを求めると、どうしても時間がかかります。一方で、装備を整えると、早い段階で成果を感じやすくなります。
その成功体験があるからこそ、もっと使ってみようと思える。そして、使っていく中で少しずつ質問力や考える力も伸びていく。
これが、ChatGPT初心者が一気に強くなる理由なのではないかと思っています。
最終的には、レベルも装備も両方必要
もちろん、最終的にはどちらも必要です。
思考力や質問力などの基礎力は、AI活用以外の場面でも重要です。仕事の整理、企画、営業、文章作成、意思決定など、あらゆる場面で役に立ちます。
一方で、ChatGPTの機能はアップデートによって変わることもあります。今便利な機能が、将来は別の形になることもあります。だからこそ、機能だけに依存するのではなく、基礎力も少しずつ伸ばしていく必要があります。
ただ、AI初心者の方が最初に価値を感じるためには、まず装備を整えることがとても有効です。
ChatGPTをただのチャット画面として使うのではなく、自分の仕事や目的に合わせた道具として整えていく。そのうえで、少しずつレベルも上げていく。この順番が、現実的で続けやすいAI活用なのではないかと思っています。
個人向けのAIオンラインマンツーマンでも、単にプロンプトの書き方だけを教えるのではなく、その人の目的や仕事に合わせて「どんな装備を整えると使いやすくなるか」から一緒に考えていきたいと思っています。興味がある方はぜひご覧ください。
改めて考えてみると、ChatGPT活用もドラクエも、結局はレベルと装備の両方が大事なのだと思います。そして、こういう例えで考えられるあたり、改めてドラクエは好きなゲームだなとも感じました。