9月下旬から10月前半にかけて、OpenAI、Anthropic、Google、Microsoftの4社が、会社での使い方に関わる機能を立て続けに発表し、提供を始めました。ChatGPTの回答に操作できる画面が入り、Claudeが自社データのダッシュボードを作り、GeminiではGemsの後継としてスキルが届き始め、Copilotは画面の作りそのものが変わります。社内で「これ使えるの」と聞かれたときに、情報システムの担当者が答えられるように、4つを同じ物差しで並べます。

結論を先に書きます。

  1. 4つとも、何が変わるかより、誰にいつ届くかと、管理者が先に決めることのほうが会社では大事です。 対象プランなら順次届くもの、管理者の設定に従うもの、管理者がオンにしないと届かないもの、参加の設定と費用の枠が先に要るものが混ざっています
  2. 自社でできるようになることが1つずつあります。 回答を画面として受け取る、自社データの集計をチャットから作る、手順を書いて渡す、業務アプリを自分で作る。どれも外注せずに社内で試せます
  3. ただし、試す前に既定値と費用の枠を決めるのは会社の仕事です。 道具の側は決めてくれません

確認日は2026年10月13日です。提供段階は数週間で変わるので、読む時点で公式の案内を見直してください。

4社の変更点を1つの表で見る

OpenAI・Anthropic・Google・Microsoftの4社の新機能を、何が変わるか・誰にいつ届くか・管理者が先に決めることの3列で並べた表

会社と機能 何が変わるか 誰にいつ届くか 管理者が先に決めること
OpenAI。GPT-6とIntelligent UI ChatGPTのChatタブの回答に、図、グラフ、押せるボタン、入力フォームが入る。文章だけでよい質問は文章で返る 10月7日からPlus、Pro、Business、EnterpriseにGPT-6 Sol。10月8日からFreeとGoにGPT-6 Luna。WorkとCodexのモデルは変わらない Enterpriseの利用可否はワークスペースの管理者設定に従う。社内のルールが文章の回答を前提にしていないかを見直す
Anthropic。Claude DashboardsとMotion 自社データにつないで、質問からダッシュボードを作る。Motionは文章や図を短い動画に動かす 10月8日からDashboardsは有料プランでベータ。MotionはTeamとEnterpriseでベータ。Docs、Slides、Designはベータを終え無料プランでも使える EnterpriseではDashboardsとMotionは既定でオフ。組織設定のArtifactsでオンにする
Google。Geminiのスキル Gemsの後継。繰り返し使う指示をスキルとして作り、チャットの中で呼ぶ。SKILL.md形式に対応 Workspaceは10月5日から方式ごとに段階的に、Geminiアプリは10月13日から。11月中旬までに完了の見込み 管理コンソールでStudioとGeminiでスキルを使えるかを決める。Gemsの廃止はBusinessとEnterpriseで早くても2027年3月1日
Microsoft。Copilot HomeとCode HomeはChatとCoworkを1つの入口にまとめる。Codeは言葉で頼んでアプリやダッシュボードを作る 9月25日発表。HomeとCodeはFrontierプログラムから数週間かけて展開。CodeはMicrosoft 365 PremiumとProの契約者にも年内にプレビュー Frontierの参加設定と対象者を確かめる。Codeは従量課金なので、Agent 365の費用管理で使える人とモデルと上限を決める

OpenAI。回答が画面になる

10月7日、OpenAIはChatGPTのChatタブ向けに、GPT-6とIntelligent UIの提供開始を発表しました。GPT-6そのものは前月に発表済みで、10月7日は会話向けに調整した版がChatタブに入った日です。

変わるのはChatタブの回答の形です。質問の内容に合わせて、文章だけでなく、図やグラフ、押せるボタン、入力フォームが回答に入ります。gihyo.jpの記事では、分量を計算するツールを回答の中に作る例が紹介されています。文章だけで答えるほうがよい質問は、これまでどおり文章で返ります。

届く順番はプランで分かれます。Plus、Pro、Business、Enterpriseには10月7日からGPT-6 Sol、FreeとGoには翌日からGPT-6 Lunaが順次入ります。WorkとCodexで使うモデルは変わりません。推論の設定のうち「Pro」はGPT-6 Astraを使うため、Intelligent UIに対応していません。Proプランでも、Instant、Medium、High、Extra Highの設定なら使えます。

会社で決めること。 OpenAIの発表では、Enterpriseでの利用可否はワークスペースの管理者設定に従うとされています。Enterpriseの管理者は、自社の設定でどうなっているかを先に見ます。そして、回答が画面になると、社員は回答を読むのではなく操作するようになります。入力フォームに取引先の名前や数字を打つ場面が出てくるので、ChatGPTに何を入れてよいかの社内ルールが、文章の回答を前提にしたままで足りるかを見直します。

Anthropic。自社データの集計をチャットから作る

Claude DashboardsとClaude Motionは、米国時間10月8日にベータとして出ました。Anthropicの案内を確認しています。

Dashboardsは、Amazon Redshift、BigQuery、ClickHouse、Databricks、Snowflakeのようなデータ基盤と、Salesforceのような顧客管理の道具につないで、質問からダッシュボードを作ります。データが変わると表示も更新され、各グラフに最後に更新した時刻が出ます。数字を押すと裏の問い合わせ文が見えて、Claudeに説明を頼めます。作ったものはAmplitude、Grafana、Hex、Mixpanel、Omni、Perplexity、PostHog、Sigmaに送れます。Anthropicは、深い分析より、すぐに答えが欲しい探索的な質問に向くと書いています。

Motionは、文章、グラフ、図形、画像を動かす短い解説動画を作ります。動画生成モデルは使わず、動きはコードで作るので、文字や数字や間合いを後から直せます。MP4で書き出せます。

誰に届くかは機能で違います。Dashboardsは有料プランでベータ、MotionはTeamとEnterpriseでベータです。同じ日に、Docs、Slides、Designがベータを終え、無料プランを含む全プランで使えるようになりました。

会社で決めること。 Enterpriseでは、DashboardsとMotionは既定でオフです。管理者が組織設定のArtifactsでオンにしないと、社員の画面には出ません。Docs、Slides、Designは10月15日に既定でオンになります。Dashboardsをオンにする前に、どのデータ基盤につなぐか、ダッシュボードを社外の人やリンクを知る人に共有してよいかを決めます。共有の可否は管理者の設定に従うと案内にあります。

Google。Gemsの後継として、手順を書いて渡す

Geminiのスキルは、9月30日のWorkspace Updatesで案内され、10月5日からWorkspaceで段階的に届いています。Rapid Releaseのドメインは10月12日までに、Scheduled Releaseのドメインは10月19日から11月中旬までに届く見込みで、Geminiアプリは10月13日からです。

スキルは、繰り返し使う指示をスキルとして作り、チャットの中で呼ぶ仕組みです。中身はMarkdownのSKILL.md形式に対応していて、他の道具で作ったスキルを持ち込めます。WorkspaceではStudioの画面やGoogle Docsのスキルビルダーからも作れるので、ファイルを自分で用意する必要はありません。1つの依頼に複数のスキルを重ねられます。GeminiアプリとWorkspaceのアプリの間でスキルは同期しないので、両方で使うなら両方で作ります。

対象は2つに分かれます。Geminiアプリのスキルは、Workspaceの全顧客と個人のGoogleアカウントが対象です。Workspaceのアプリの中のスキルは、Business StarterからPlus、Enterprise StarterからPlus、教育向けのGoogle AI Pro for Education、AI Expanded Accessが対象で、18歳以上の利用者に限られます。SKILL.mdの形式そのものは、Claude・Microsoft・Googleで同じ形式になった話に書きました。

Gemsには期限があります。2026年11月17日にGeminiアプリの設定パネルに移り、作成と編集と利用はまだできます。BusinessとEnterpriseのGemsは、早くても2027年3月1日以降に作成も編集も利用もできなくなり、残ったGemsはGeminiアプリの下書きのスキルに自動で移されます。教育向けは早くても2027年6月1日以降です。確定した日付は別途案内されます。Workspace Studioの「Ask a Gem」の手順は、新しく作れなくなっており、既存のフローは廃止日まで動きます。

会社で決めること。 管理コンソールで、StudioとWorkspaceのGeminiでスキルを使えるかを決めます。Gemsは自動で下書きのスキルに移りますが、下書きを確かめて動く状態にするのは人なので、その担当を決めます。廃止を待たずに移したいGemsや、Workspaceのアプリの中でも使いたいスキルは、手で作る担当も要ります。自動移行の詳しい案内は30日以上前に出るとGoogleは書いています。

Microsoft。Copilotの入口が変わり、アプリを自分で作る

Microsoftは9月25日に、Copilot Home、Copilot Code、Autopilotを発表しました。発表はJared Spataro氏のブログです。

Homeは、ChatとCoworkを1つの画面にまとめた新しい起点です。Chatは短い質問と調べもの、Coworkは任せて最後までやらせる仕事です。依頼に応じてChat、Cowork、Codeに自動で振り分ける機能は、近日提供予定と案内されています。

Codeは、アプリ、記録表、ダッシュボード、自動化の流れを言葉で頼むと作る機能です。できるものはデスクトップのウィジェット、操作できるダッシュボード、クラウドに置いて社内で共有する内製アプリで、GitHub Copilotと同じ技術で動きます。サンドボックスの中で動き、自社のテナントの中に置けるとあります。置き場はCopilot Managed Runtimeという仕組みで、プレビューです。

届く時期は段階的です。HomeとCodeはFrontierプログラムから数週間かけて展開されます。Codeは、Microsoft 365 PremiumとProの契約者にも年内にプレビューで届く予定です。Autopilotは、9月25日の発表で、9月末に非公開プレビューを広げると案内されました。

会社で決めること。 Frontierプログラムは、管理者が参加を設定し、対象者を決める仕組みです。自社が参加しているか、誰が対象かを先に確かめます。Codeは従量課金です。Agent 365の費用管理がCodeにも広がり、管理者は支出の方針を決め、クレジットの申請を承認の流れに乗せ、どの利用者の集まりがどのモデルを使えるかを選べます。つまり、誰がアプリを作ってよいか、月にいくらまでか、作ったアプリのデータをどこに置くかを、使い始める前に決めておく必要があります。現場が作ったアプリの置き場と権限を人が決めないと壊れる、という点はCopilotの組織のプロンプトでも書きました。

4つに共通する見方

4社の新機能を、管理者の操作が要るかと今すぐ使えるかの2軸に置いた図。GPT-6のIntelligent UIはPlus・Pro・Businessには操作なしで届き、Enterpriseは管理者設定に従う。Claude DashboardsのEnterpriseとGeminiのスキルは管理者が可否を決める。Copilot CodeはFrontierの参加設定と費用の枠が要り、Gemsの廃止は期限が先にある

4つを、管理者の操作が要るかと、今すぐ使えるかの2軸に置くと、会社での扱いが見えます。

  • 操作なしで、もう届いている。GPT-6のIntelligent UIのPlus、Pro、Business。社員の画面が先に変わるので、使い方のルールを後追いで決めることになります。先に一言、社内に知らせておくだけで混乱が減ります
  • 管理者の設定に従って、届く。Intelligent UIのEnterprise、Claude DashboardsとMotionのEnterprise、Geminiのスキル。オンにする前に、つなぐデータと共有の範囲を決められます。順番が自然なのはここです
  • 参加の設定と、費用の枠が要る。Copilot Code。Frontierの参加と対象者を確かめ、誰が作るか、いくらまでか、どこに置くかを決めてから渡します
  • 期限が先にある。Gemsの廃止。使える期間は長いですが、自動移行の後に確かめるのは人なので、担当と期限を先に決めます

情報システム・現場・経営の3つの立場で、新機能が届く前に決める5つのこと。提供段階を確かめる、既定値を決める、試す人を決める、費用の枠を決める、作ったものの置き場と共有を決める

決めることは5つに絞れます。提供段階を確かめる、既定値を決める、試す人を決める、費用の枠を決める、作ったものの置き場と共有の範囲を決める。最初の2つは情報システム、3つ目は現場、残りの2つは経営の仕事です。

注意点

当社は4つとも自社のテナントで実機確認をしていません。 画面の位置や設定の名前は、実機で確かめてから社内の手順書に書いてください。

ベータと非公開プレビューは、仕様が変わります。 Claude DashboardsとMotion、Copilot Managed Runtime、Autopilotは、読む時点で提供段階を見直してください。

4つを全部試す必要はありません。 自社が契約している道具の1つだけでも十分です。

KOIYALの見解

4つの機能には、同じ方向があります。道具が、答えを返す側から、作る側に寄ってきました。回答が画面になり、ダッシュボードが生まれ、手順がスキルになり、アプリが作られます。作ったものを業務で使い続けるなら、保存先、共有の権限、書き出しの方法を決める必要があります。

決める必要がある以上、誰が作ってよいか、どこに置くか、いくらまでかは、道具が決めることではなく会社が決めることです。当社が言うインハウス経営(AIを活用し、自社で業務を改善し、自社で仕組みをつくる経営)は、作る力を社内に持つことと同時に、作ったものの扱いを自社で決めることです。4社の新機能は、その2つ目を先に決めた会社ほど、素直に使えると当社は考えています。

次の行動

  1. 自社が契約している道具を1つ選び、その機能の提供段階と対象プランを、この記事ではなく公式の案内で確かめる
  2. 既定値を1つ決める。オンにするか、誰に開けるか、いくらまでか
  3. 試す人を1人決め、作ったものをどこに置くかを先に決めてから渡す

既定値と費用の枠を決めるところで手が止まったら、AI・DXコンサルティングの初回の打ち合わせで、自社の契約と使い方に合わせて一緒に決めます。お問い合わせに、契約している道具と困っている点を1行ずつ書いていただければ、初回の前に当社で整理します。

参考