あの取引先への見積もりは、いくらで出したか。来週の打ち合わせは何時からか。Gmailで探すとき、検索の結果に並ぶスレッドを順に開いて、本文を読んで、やっと見つける。この探し方を変える機能が、2026年9月に日本の会社でも使える条件に入りました。Gmail検索のAI Overviewsです。検索窓に質問を書くと、メールを開かずに答えや要約が検索結果の上に出ます。
この記事は、何ができるか、使えるようにする設定、出ないときに見る条件、そして日本語でメールを書いている会社が今試す価値があるかを書きます。記述は、2026年10月13日に確認したGoogle Workspace Updatesの発表とGmailのヘルプによります。当社のGmailは言語を日本語で使っているため、この機能を実機では確かめていません。 実機で分かることと、公式の記述で分かることを、分けて書きます。
結論を先に書きます。
- 2026年9月15日の発表で、Gmail検索のAI Overviewsは米国以外の有料プランにも広がりました。 4月の時点では米国で英語のユーザーだけでした。Business Starterから使えます
- 条件の1つはGmailの言語が英語であることです。 日本語の設定のままでは出ません。対象プランと必要な設定を満たしている会社のアカウントなら、表示言語を英語に変えて試せますが、画面の表記が全部英語になります
- 管理者側の設定は既定でオン、日本のユーザー側のスマート機能は既定でオフです。 管理者側はGemini for WorkspaceのGmailと、Workspace IntelligenceのGmailの両方がオンなら条件を満たします。ユーザー側は、日本ではスマート機能が既定でオフなので、2つの設定を自分でオンにする必要があります。Geminiが社内メールを自動で探すのを止めたい会社は、Workspace IntelligenceでGmailをオフにします
何ができるか
Gmailのヘルプは、できることを3つに分けて説明しています。
- 答えを得る。 次の上司との打ち合わせはいつか、のような質問に、メールの中から答えを出す
- 要約する。 近く予定している出張の内容をまとめて、のように、複数のメールにまたがる情報を1つにまとめる
- 詳細を取り出す。 ノートパソコンの配送の追跡番号、のように、本文に埋まっている値を取り出す
4月の発表には、ある取引先への請求書のうち、支払い済みと未払いはどれか、という例もありました。1通のメールを探す検索ではなく、複数の会話をまたいだ答えを出すのが特徴です。

使い方は、パソコンでGmailを開き、上の検索窓に質問か語句を書いてEnterを押すだけです。要約は検索結果の上に出ます。出ないときは、より具体的な質問に書き直すように、ヘルプは案内しています。要約の横には、良い提案か悪い提案かを送るアイコンがあり、フィードバックを返せます。
使えるまでの4段階
管理者とユーザーの両方に設定があります。管理者側は既定でオンです。ユーザー側のスマート機能は、Gmailのヘルプによると、日本、欧州経済領域、スイス、英国のユーザーでは既定でオフです。日本の会社では、管理者が何も触っていなくても、ユーザーが自分でスマート機能をオンにしないと出ません。

1. 管理者が、Gemini for WorkspaceのGmailを確認する。 管理コンソールのメニューから、Generative AI、Gemini for Workspaceと進み、Feature accessのパネルでGmailがオンかを見ます。組織部門やグループごとに変えられます。Gemini Settingsの管理者権限が要ります。ただし、Feature accessのパネルを使えるのは一部のエディションです。管理者ヘルプの対象一覧にはEnterprise StandardとPlus、Education Plusなどが挙がっていて、Businessの各プランは載っていません。AI Overviewsの対象プランであっても、このパネルが出るとは限りません。パネルが無い会社は、Gemini機能はオンの状態として、次の2へ進みます。
2. 管理者が、Workspace IntelligenceのGmailを確認する。 同じGemini for Workspaceの中に、Workspace Intelligenceのパネルがあります。Gmail、Drive and Docs、Calendar、Chatの4つの元データごとにオンとオフを選べます。既定はすべてオンで、変更の反映には最大48時間かかると管理者ヘルプに書かれています。Gmailをオフにすると、Gmail検索のAI OverviewsとAI Inboxが使えなくなることがある、と同じページにあります。
3. ユーザーが、スマート機能を2つともオンにする。 Gmailの設定にある「Smart features in Gmail, Chat, and Meet」と「Google Workspace smart features」の2つです。パソコンのGmailで、設定から「See all settings」、「General」タブに2つとも並んでいます。日本のユーザーは既定でオフなので、ここを自分でオンにします。
4. ユーザーが、Gmailの言語を英語にする。 Gmailの設定の言語でEnglishを選びます。ここが日本の会社にとっての壁です。
展開は段階的で、Rapid Releaseのドメインは2026年9月3日から最大15日かけて、Scheduled Releaseのドメインは9月21日から1〜3日で表示される、と発表にあります。発表上の法人向けの展開期間は、10月の時点で過ぎています。ただし、条件を満たしても、すべての検索で要約が出るとは限りません。出ないときは、質問を具体的に書き直したうえで、設定を確認します。
出ないときに見る5つの条件
出ない、という問い合わせが社内で出たときに、順に見る条件を1枚にしておきます。

- 対象のプランか。 Business Starter、Standard、Plus、Enterprise Starter、Standard、Plus、Frontline Plus、Google AI Pro for Education、AI Expanded Accessの追加契約が対象です。個人のGoogleアカウントはGoogle AI Plus、Pro、Ultraが対象ですが、日本、欧州経済領域、英国、スイスに住む個人アカウントは対象外と明記されています。会社のアカウントには、この地域の除外は書かれていません
- 管理者の2つの設定がオンか。 上の1と2です。既定はオンです
- ユーザーのスマート機能が2つともオンか。 上の3です。日本では既定がオフなので、ここで止まっている人がいます
- Gmailの言語が英語か。 日本語では出ません
- 検索演算子を使っていないか。 is:unreadやfrom:のような演算子を検索窓に入れると、AI Overviewは出ない、とヘルプにあります。質問は演算子なしの文で書きます
5つ全部を満たしても、すべての検索で要約が出るわけではありません。ヘルプは、出ないときはより具体的な質問に書き直すように案内しています。
日本語のメールで、英語設定にして試す価値があるか
ここからは、公式の記述ではなく、当社の考えです。
対象プランで、管理者側とユーザー側の設定を満たしている日本の会社のアカウントなら、Gmailの表示言語を英語にすれば条件は揃います。問題は、メールの本文が日本語であることです。英語で質問して、日本語のメールから答えを出せるかどうかは、発表にもヘルプにも書かれていません。当社では未確認です。 試した結果は、確かめた時点で記事に追記します。
当社が今の時点で勧めるのは、次の2つです。
- 情報システムの担当者か、英語の表記に抵抗のない人が1人だけ、英語設定にして試す。 まず自分のメールに対して、英語で5問ほど聞いて、動くかどうかを見る。動いたら、実務で実際に探す質問を足す。答えが合っているかを、実際にメールを開いて照合し、合っていた問数、外れた問数、見つけられなかった件数と、外れたときに何が起きるかを記録する
- 全社の言語設定は変えない。 画面の表記が全部英語になり、英語に不慣れな人は、設定の項目や操作を確かめる負担が増える可能性があります。AI Overviewsのために全社の表記を変える価値は、1人の試しで答えが合うことを確かめてからでないと判断できません
日本語の設定で出るようになったら、この記事を更新します。
Geminiにメールを自動で探させたくない会社の設定
Workspace Intelligenceは、Google Workspaceの中のGeminiが、ユーザーのメール、文書、予定を自動で参照する仕組みです。元データごとに止める専用の設定は管理者向けで、4月の発表では、ユーザー側にはこの元データごとの設定は無い、とあります。ユーザーが自分で止めるには、後述のスマート機能をオフにします。
管理者がGmailをオフにすると、Workspaceの中のGeminiは社内のメールを自動では探さなくなります。ただし、ユーザーが特定のメールを指定して質問した場合は、その内容を使うことがある、と管理者ヘルプにあります。完全に遮断する設定ではなく、自動で探す範囲を狭める設定です。Geminiアプリなど、Workspaceの外の設定は別に確認します。
AIが参照するのは、そのユーザー自身に閲覧権限がある情報です。他人の受信トレイを探すわけではありません。その範囲であっても、顧客とのやり取りをAIが要約してよいか、人事や取引条件のメールを答えの根拠に使ってよいかは、会社として決めることです。決めるのは、情報システムの担当者だけでなく、経営者と担当者の両方です。判断の材料は、Gemini全社開放の前に、管理者が押さえるWorkspace設定3つに書きました。
ユーザーが自分で止めたい場合は、Gmailの設定から「See all settings」、「General」タブの「Google Workspace smart features」で「Manage Workspace smart feature settings」を開き、「Smart features in Google Workspace」をオフにします。ただし、これをオフにすると、Gmailの横に出るGeminiのパネルなど、他のAI機能も止まります。AI Overviewsだけを止める設定は、ヘルプには書かれていません。
注意点
個人のGoogleアカウントは、日本では対象外です。 会社のWorkspaceアカウントと、個人のGmailで条件が違います。社員が自分のGmailで試して出なかった、という報告は、条件の違いによるものです。
設定の表記は英語で書きました。 管理コンソールとGmailの設定の項目名は、英語のヘルプの表記をそのまま書いています。日本語の管理コンソールでは訳語が違うことがあります。
精度は当社では未確認です。 答えが合っているかは、メールを開いて照合してください。請求の支払い状況のような、間違えると困る質問ほど、照合を省かないでください。
KOIYALの見解
Gmail検索のAI Overviewsは、4月の法人・教育向けの発表に続いて、9月には英語設定の対象プランへ提供地域が広がりました。日本語の設定への対応時期は、確認した一次資料には書かれていません。それでも、今のうちに決めておくことがあります。社内のメールを、AIにどこまで自動で読ませるかです。
管理者側のWorkspace Intelligenceは既定でオンです。日本のユーザーがスマート機能をオンにした時点で、Geminiがそのユーザーのメールと文書と予定を参照できる状態になります。これを会社として止めるか、続けるかを、自社で決めて記録しておく。最終的な方針を決めるのは、管理コンソールを開ける担当者と経営者です。扱う情報と使う目的を確かめる作業に、当社のような外部が入ることはあっても、決めるのは自社です。インハウス経営(AIを活用し、自社で業務を改善し、自社で仕組みをつくる経営)の最初の仕事は、新しい機能を試すことより、既定の設定を自社の判断に置き換えることだと当社は考えています。
決めた後に試すのが、1人の英語設定です。自社のメールで答えが合うかを、自社で確かめる。その結果を持って、全社で使うかを判断する。この順番なら、便利そうだから全社で、という決め方にはなりません。
次の行動
- 管理コンソールで、Workspace IntelligenceのGmailがオンかオフかを確認し、どちらにするかを経営者と決めて記録する。ユーザーのスマート機能を会社として促すかどうかも、ここで決める
- 1人だけスマート機能をオンにし、Gmailの言語を英語にして、自分のメールに英語で5問聞き、答えを照合する
- 動いたら、実務で使う質問を足して、正確さ、見つけられなかった件数、外れたときの影響、英語画面の操作負担を確かめる。そのうえで、英語設定でも困らない部署から広げるかを検討する。日本語設定で出るようになるまで待つのも選択肢に残す
設定の判断に迷う場合は、AI・DXコンサルティングで、Workspaceの管理者設定を自社の方針に合わせて決めるところから一緒に進めます。
参考
- Gmail Search's AI Overviews now available globally(Google Workspace Updates・2026年9月15日。確認日2026年10月13日)
- Search faster and smarter with AI Overviews in Gmail search(Google Workspace Updates・2026年4月22日。確認日2026年10月13日)
- Introducing Workspace Intelligence with admin controls(Google Workspace Updates・2026年4月22日。確認日2026年10月13日)
- Get an AI Overview in Gmail search(Gmail ヘルプ。確認日2026年10月13日)
- Turn on smart features(Gmail ヘルプ。日本では既定でオフと記載。確認日2026年10月13日)
- Control Workspace Intelligence for generative AI features(Google Workspace 管理者ヘルプ。確認日2026年10月13日)
- Manage access to Gemini features in Workspace services(Google Workspace 管理者ヘルプ。確認日2026年10月13日)
- Gemini全社開放の前に、管理者が押さえるWorkspace設定3つ(KOIYAL・2026年9月29日)