KOIYALが無料で公開しているローカル文字起こしアプリ「Local Transcriber」のバージョン0.7.0を公開しました。

今回追加したのは、オンライン会議でPCから聞こえる相手の声と、自分のマイクを合わせて録音する機能です。会議に録音用のボットを参加させず、録音停止後にPC内で文字起こしできます。社名・人名・製品名の誤りを減らすための用語集、試験的な話者分離も加えました。

Local Transcriberの製品ページ・ダウンロードに、Windows・macOS・Linuxの配布ファイルを掲載しています。

0.7.0で変わったこと

オンライン会議の音声を、マイクと一緒に録音

録音パネルの「PCで再生中の音声も録る(オンライン会議用)」をONにすると、Zoom・Teams・Meetなどで再生中の相手の声をマイクの音声と合わせて録音します。デフォルトはOFFです。

対象はWindows 10/11のデスクトップアプリと、macOS 14.2以降のパッケージアプリです。Macではマイク・画面収録・システム音声の収録を許可してください。権限を変更した後は、アプリの再起動が必要な場合があります。

映像は保存しません。音声を取得できなかった場合や途中で共有が終了した場合は、理由を表示してマイク録音を続けます。相手の声まで録れているか、会議前に短い録音で確かめてください。

用語集で、社名・人名・製品名の誤りを減らす

よく使う固有名詞を最大500文字まで保存できます。ファイルと録音の両方の文字起こしで参考にし、長い音声でも各処理区間に反映します。

たとえば、会議に出る会社名や製品名を事前に登録しておく使い方です。登録した語が必ず正しく出るわけではないため、共有前には名前や数値を確認してください。デスクトップでは用語集・マイク・表示言語・PC音声の設定を次回起動時にも保持します。

話者分離は、試験的な機能として追加

「話者を分ける」を有効にすると、結果と全文コピー、TXT・SRT・VTT・JSONの書き出しに「話者1」「話者2」などの番号を付けます。人の名前を特定する機能ではありません。

対応する追加ライブラリと8 GiB以上のメモリがある環境でだけ表示され、デフォルトはOFFです。初回に約46.6MBの専用モデルを取得し、準備後はCPUでオフライン処理します。モデルの準備中に始めた文字起こしには話者ラベルを付けません。

短い発言の交代や同時発話では誤る場合があり、処理時間とメモリも追加で必要です。話者分離に失敗した場合は、通常の文字起こしと元音声を残します。

メモリ32GB以上ではTurboを自動選択

新規セットアップでは、メモリ32GB以上のPCにTurbo(large-v3-turbo、約1.62GB)を選びます。高速・高精度の文字起こしに向けたモデルですが、速度や精度は音声とPC環境によって変わります。

すでに導入しているMediumなどのモデルはそのまま使えます。Turboへの切り替えは設定から選べます。同じ文が何度も繰り返される問題の抑制も加えました。

新しいバージョンの通知とLinuxテストビルド

画面とトレイに、新しいバージョンのダウンロード先を表示します。アプリの自動更新は行いません。確認通信を止める方法は後述します。

LinuxはUbuntu 22.04以降のx86_64向けにtar.gzを配布します。ファイルの文字起こしとマイク録音が対象です。PCの再生音声の録音とログイン時の自動起動には対応せず、要約は通常非表示です。Windows・macOSと異なり、ウィンドウを閉じると終了します。録音中・一時停止中は終了前に確認します。

オンライン会議で使う手順

  1. 対応するWindowsまたはMacでアプリを開き、初回の文字起こしモデルのダウンロードを済ませます。
  2. 用語集に、今回の会議で使う社名・人名・製品名を登録します。必要なら話者分離を有効にし、専用モデルの準備完了を待ちます。
  3. マイクを選び、「PCで再生中の音声も録る(オンライン会議用)」をONにします。Macでは必要な権限を許可します。
  4. 会議の音声をPCで再生し、「録音を開始」を押します。「PC音声あり」の表示とレベルメーターを確認します。
  5. 会議後に録音を停止すると文字起こしが始まります。結果を確認し、TXT・SRT・VTT・JSONで保存します。要約は対応環境で利用できます。

この機能は録音停止後に文字起こしする方式です。会議中に文字がリアルタイム表示される機能ではありません。

PC全体の音声を取得すると、会議以外の通知音や音楽も入ります。スピーカーの音をマイクが拾って二重になる場合は、ヘッドホンで試してください。Bluetoothヘッドセットはマイク使用時に音質や入出力先が変わることがあります。音が取れない場合は、有線ヘッドホンと内蔵またはUSBマイクで確認してください。

完全ローカル処理と、通信が発生する場面

音声・用語集・文字起こし・要約を外部に送信しません。必要なモデルを準備した後の文字起こしは、オフラインで使えます。モデルの初回取得と、利用者が選んだモデル更新ではダウンロードが発生します。

新しいバージョンの確認だけ、GitHub APIに1回問い合わせます。リクエストに音声や本文は含めません。取得結果は失敗時も含めて24時間保存し、その間は再問い合わせしません。環境変数 LT_UPDATE_CHECK=off(0・false・noも可)で、この通信を止められます。

対応環境と注意点

  • Windowsは10/11のx64向けZIPです。すべて展開して LocalTranscriber.exe を起動します。
  • macOSはApple Silicon向けDMGです。Applicationsフォルダへアプリをドラッグして使います。Intel Macは今回の配布対象外です。PC音声の録音にはmacOS 14.2以降が必要です。
  • Linuxはテストビルドです。展開したフォルダ全体を保ち、通常ユーザーで起動してください。GTK 3・NSS・ALSAなどの実行ライブラリと、トレイを使う場合はAppIndicator対応が必要です。ARM64・Alpine Linux・画面のないサーバーは対象外です。
  • ブラウザでソースから実行する場合、PC音声の取得可否はOS・画面共有機能・共有元によって変わります。タブ共有で取得できるのはそのタブの音声だけです。
  • 話者分離は試験的です。参照READMEではWindows・macOSの実機録音と配布アプリでの話者分離、LinuxのGUI動作の確認は未実施です。会議で使う前に、ご自身の環境で録音・文字起こし・書き出しを確認してください。

詳しい条件は日本語README、変更内容と配布物は0.7.0のリリースページをご覧ください。

ダウンロード

GitHubで配布するLocal Transcriberは無料・オープンソース(AGPL-3.0)です。APIキーや会員登録は不要です。各OSのダウンロード先と公開ファイルのサイズ、ほかの文字起こしツールとの比較は製品ページにまとめています。

録音・文字起こしを社内で使う手順や、会議ごとの扱いを決めるところから相談したい場合は、KOIYALのAI活用支援をご覧ください。