案件ごとに資料を10件まとめて置き、その資料を前提にGeminiと話す。Geminiアプリのノートブック(Notebooks in Gemini)は、Google Workspaceの組織向けに2026年9月14日から段階展開が始まりました。GeminiアプリとGemini Notebookの両方の設定がオンになっている組織部門やグループでは、既定で使えます。
現場にとっては使いやすい入口です。研修でも、案件別の資料をまとめて聞く演習として使えます。一方で管理者から見ると、社内資料を10件まとめて置く場所が新しく1つ増えた、ということでもあります。この記事は、社内資料を読み込ませる前に管理者が見る4か所を、Googleの発表とヘルプセンターから短くまとめます。確認日は2026年10月5日です。
結論を先に書きます。
- この記事では、最初に確認する4か所を取り上げます。サービスの状態、外部共有、Driveの共有境界、監査ログです。 どれも管理コンソールの中にあります
- 外部共有は既定でオフです。 9月10日に4段階の制御が入りました。社外に共有させるなら、信頼できるドメインだけに絞る段階から始めます
- 監査ログは、必要な管理者権限があれば既定で見られます。 誰がどのノートブックの共有をどう変えたかが残ります。BigQueryへの書き出しだけは、自分でオンにします
1. サービスの状態。2つの設定が両方オンで使える

Google Workspace Updatesの9月17日の記事によると、ノートブックは1つにつき最大10件の資料を集められ、要約、質問、下書きの作成などに使えます。段階展開は9月14日に始まり、見えるようになるまで最大15日です。提供先は欧州経済領域の外のすべてのWorkspace顧客とWorkspace Individual加入者、それに全世界の個人アカウントで、日本の会社は含まれます。
管理者向けの項には、こう書かれています。
Geminiアプリ内のNotebooksへのアクセスは既定でオンです。GeminiのNotebooksは、Gemini NotebookとGeminiの両方がオンになっている組織部門またはグループのユーザーが使えます。
つまり、Geminiアプリ内のNotebooksを止めたい場合は、どちらか一方をオフにすれば止まります。Gemini Notebookの設定場所は、管理者ヘルプ「Turn Gemini Notebook on or off for users」によると、管理コンソールのメニューから「生成AI、Gemini Notebook、サービスのステータス」です。全員にオン、全員にオフのほか、組織部門を選んでオンかオフにでき、親の設定を継承するか上書きするかも選べます。操作にはGemini設定の管理者権限が要ります。アクセスグループを使えば、組織部門をまたいだ一部のユーザーだけにオンにすることもできます。
研修の受講者だけ先にオンにして、全社は様子を見る。そういう段階的な開放が、この設定でできます。
2. 外部共有。4段階で、既定はオフ
ノートブックは共有できます。社外に共有できるかどうかは、9月10日の発表で管理者が決められるようになりました。4段階です。

- オフ: ドメインの外の誰とも共有できない
- 信頼できるドメイン: 社外に共有できるが、許可リストに登録した信頼できるドメインに属するメールアドレスに限る
- オン: 任意の社外のメールアドレスと共有できる
- オン(公開ノートブックの共有あり): リンクを知っている誰でも見られる公開ノートブックを作れる
発表には、この機能は既定でオフ、設定はドメイン、組織部門、グループの単位で有効にできる、と書かれています。段階展開は9月10日から最大15日で、すべてのWorkspace顧客が対象です。
社内の資料をまとめたノートブックが、公開リンクで外に出る。これが起きないよう既定はオフになっています。協力会社と案件の資料を共有したい部署があるなら、全社をオンにするのではなく、その部署の組織部門かグループだけ「信頼できるドメイン」にして、相手の会社のドメインを許可リストに載せる。それが最初の一歩です。
3. Driveの共有境界。元ファイルの閲覧権限がないと資料にできない
ノートブックに入れる資料の多くは、Driveのファイルです。管理者ヘルプには、Driveのファイルを追加すると自動で同期される、そして組織の既存の共有設定がそのまま適用され、元のDriveファイルに少なくとも閲覧権限を持つユーザーだけがそれを資料として使える、と書かれています。
これは安心材料であると同時に、注意点でもあります。Driveのファイルを資料に使うには、元のファイルへの閲覧権限が要ります。しかし、Driveの権限が緩いままなら、ノートブックからも緩いまま見えます。誰でも見られる場所に置いたままの資料が、ノートブックの答えの根拠になります。Geminiを全社に開放する前の確認と同じで、過剰に共有されたファイルの見直しが先です。
もう1つ、同じヘルプに、組織のデータリージョンの設定は、Gemini Notebookが処理してキャッシュするデータには適用されない、と書かれています。データの保存地域を契約で決めている会社は、この一文を法務や監査の担当と共有してください。
学習への利用については、データの扱いがエディションとサービスの区分で異なる、という前提で読んでください。ヘルプには、追加サービスとしての標準アクセスの欄に、データは保護され、フィードバックを送らない限りGemini Notebookの学習には使われない、とあります。企業水準の保護がある欄には、アップロードしたファイル、チャット、モデルの出力は人のレビューにも生成AIモデルの改善にも使われない、と書かれています。自社がどちらの欄に当たるかは、ヘルプのエディションの表で確かめてください。
4. 監査ログ。既定で見られる。書き出しだけ自分でオンに
9月3日に発表され、同日から最大15日かけて段階展開された機能です。Gemini Notebookの監査ログが管理コンソールで見られるようになりました。開き方は、管理者ヘルプ「Gemini Notebook log events」によると、管理コンソールのメニューから「レポート、監査と調査、Gemini Notebookのログイベント」です。閲覧には「監査と調査」の管理者権限が要ります。セキュリティセンターの調査ツールから、データソースにGemini Notebookのログイベントを選んで見る経路もありますが、こちらは対応するエディションとセキュリティセンターの管理者権限が必要です。
確認できる属性には、操作した人のメールアドレス、IPアドレス、ノートブックの現在の公開範囲と変更前の公開範囲、対象のノートブックや資料のID・名前・種類・所有者があります。記録される属性はイベントの種類によって異なります。共有権限の更新のイベントなら、誰が、いつ、どのノートブックの共有範囲をどう変えたかを、そのイベントに記録された属性から追えます。前の節の外部共有の設定と組み合わせると、共有が広がった瞬間を後から確かめられます。
開いた直後の表示は直近7日分ですが、これは表示の条件で、保持期間ではありません。BigQueryへの書き出しは、発表に「既定ではオフで、オンにするまで無効」とあるので、長期で残したい会社は自分でオンにします。ログの保持期間はヘルプの「データの保持とラグ」のページで確認してください。

注意点
Geminiアプリの設定がオフなら、Notebookの設定だけオンにしても使えません。 2つの設定が両方オンの組織部門やグループだけです。「使えない」という問い合わせが来たら、まずGeminiアプリの側を見てください。
外部共有の段階は、組織部門やグループで変えられます。 全社をオンにする理由はほぼありません。共有が要る部署だけ、信頼できるドメインの段階にします。
監査ログで確認できる期間は、実際のログと保持期間の説明で確かめてください。 導入前にログの閲覧と書き出しを設定し、試しに操作して記録されることを確認してから、受講者に開放します。
データリージョンの設定が及ばない点は、契約の確認事項です。 技術の話ではなく、顧客との契約や社内規程に、保存地域の条件があるかどうかの話です。
KOIYALの見解
ノートブックは、研修で見せると受講者の反応がいちばんよい機能の1つです。案件の資料を10件置いて「この案件で先方が一番気にしていたことは」と聞くと、散らばった資料を読み直す時間が消えます。だからこそ、管理者が先に4か所を見ておく値打ちがあります。
4か所のうち、当社がいちばん重く見るのは3つ目、Driveの共有境界です。資料にできるのは閲覧権限のあるファイルだけです。問題は、ノートブックが便利になるほど、Driveの緩い共有がそのまま答えに出る回数が増えることです。ノートブックの導入は、Driveの共有の棚卸しをする口実として使えます。
次の行動
- 管理コンソールで「生成AI、Gemini Notebook、サービスのステータス」と、Geminiアプリの設定が、どの組織部門でオンになっているかを確かめる
- 外部共有の設定が既定のオフのままかを見て、共有が要る部署だけ「信頼できるドメイン」にする
- 研修の受講者や先行の部署が使うDriveのフォルダで、誰でも見られる共有が残っていないかを見直す
- 「レポート、監査と調査、Gemini Notebookのログイベント」を一度開き、長期で残すならBigQueryへの書き出しをオンにする
Geminiのノートブックを含めて、Workspaceの新しい機能をどの順で、どの部署から開放するかを一緒に決めたい会社には、当社が管理設定の対応表を作り、研修と合わせて進めます。AI・DXコンサルティングをご覧いただくか、お問い合わせからご連絡ください。
参考
- Notebooks in Gemini: a dedicated workspace for focused, organized work, now for schools and organizations(Google Workspace Updates・2026年9月17日)
- Manage external sharing for Gemini Notebook in the Admin console(Google Workspace Updates・2026年9月10日)
- Introducing comprehensive audit logs for Gemini Notebook in the Workspace Admin console(Google Workspace Updates・2026年9月3日)
- Turn Gemini Notebook on or off for users(Google Workspace 管理者ヘルプ)
- Gemini Notebook log events(Google Workspace 管理者ヘルプ)
- Gemini全社開放の前に、管理者が押さえるWorkspace設定3つ(KOIYAL・2026年9月29日)