社内のSharePointに、何年も前に作った手順書のWikiページや、Webパーツを並べた部門のトップページが残っていませんか。Microsoftは2026年8月、SharePoint Onlineのクラシックページを2028年10月1日に読み取り専用にすると告知しました。ページは消えませんが、その日から誰も編集できなくなります。

この記事は短い実務解説です。何がいつ変わるか、どのページが対象か、自社にどれだけ残っているかを調べる方法、どれから手をつけるか、そしてCopilotを入れる前に片づけておく理由を書きます。読者は、情報システムの担当者と、SharePointの移行を外部に頼むかどうかを決める人です。

結論を先に書きます。

  1. 2段階です。 2027年3月1日に、クラシック発行サイトの新規作成が全テナントで止まります。2028年10月1日に、既存のクラシックページが全テナントで読み取り専用になります。どちらも、既存のページを削除したり変更したりはしません
  2. 対象は、利用者が作ったクラシックページです。 Wikiページ、Webパーツページ、ブログページ、発行ページ、SharePoint Designerや他社製品で作ったカスタムのASPXページ。リストとライブラリの表示や、リストのフォームは今回の対象外です
  3. 先に棚卸しです。 Purviewの監査ログとMicrosoft 365 Assessment Toolで、どのサイトにいくつ残っていて、誰が見ているかを出します。残っていなければ、何もしなくてよい、とMicrosoft自身が書いています

何がいつ変わるか

Microsoft Learnの「Deprecation of Classic SharePoint Pages」(確認日2026年10月10日)によると、変更は2段階で進みます。

SharePoint クラシックページの変更の時系列。2026年8月の告知、2027年3月1日の第1段階、2028年10月1日の第2段階、その間に棚卸しと移行を行う

第1段階、2027年3月1日から。 すべてのテナントで、クラシック発行サイトの新規作成と、クラシック発行機能の有効化が、サイトコレクションとサブサイトの両方で無効になります。テナント設定のAllowClassicPublishingSiteCreationはFalseに固定され、変えられなくなります。加えて、2027年3月1日以降に作られた新しいテナントでは、利用者がクラシックページを作れなくなり、カスタムスクリプトの追加と更新が既定で無効になり、サイト設定のDenyAddAndCustomizePagesはTrueに固定されて変えられなくなります。つまり新しいテナントには、第2段階の制限が最初から効きます。

第2段階、2028年10月1日から。 第1段階で新しいテナントに適用された制限が、残りの既存テナントすべてに広がります。利用者が作ったクラシックページは読み取り専用になり、作成も編集もできません。カスタムスクリプトの追加と更新は既定で無効になり、サイト設定のDenyAddAndCustomizePagesはTrueに固定されます。

重要なのは、どちらの段階でも、既存のクラシックページの内容は削除も変更もされないことです。Learnのページには、該当する段階が始まった後も、ページは閲覧のために読み取り専用の形で残る、と書かれています。消える心配をする必要はありません。編集できなくなる、という変化です。

対象の環境は、通常のMicrosoft 365に加えて、Microsoft 365 Government、エアギャップ環境のOffice 365、21Vianetが運営するMicrosoft 365を含みます。ただし、後述の評価の道具で監査の利用状況を集められるのはグローバルのサービスだけで、主権クラウドの環境では監査の収集は飛ばされます。変更の対象環境と、道具で集められる環境は別だと読んでください。

どのページが対象か

読み取り専用になるのは、利用者が作ったクラシックページのうち、次の種類です。

読み取り専用になるクラシックページの種類と、今回の対象外の要素を並べた表

種類 社内でよくある姿 2028年10月1日以降
Wikiページ 部門の手順書、FAQ、連絡先一覧 読み取り専用
Webパーツページ 部門のトップページ、お知らせとリンク集を並べた画面 読み取り専用
ブログページ 社内報、部長のコラム 読み取り専用
発行ページ 全社ポータルの記事、規程の掲示 読み取り専用
カスタムのASPXページ SharePoint Designerや他社製品で作った独自画面 読み取り専用
リストとライブラリの表示、リストのフォーム 申請一覧、備品の管理表の画面 今回の対象外。ただし埋め込んだカスタムスクリプトは制限の対象

Learnのページには、リストとライブラリの表示やリストのフォームのような他のクラシック体験は今回の対象ではなく、別の時期に扱われる可能性がある、と書かれています。一方で、そこに埋め込まれたカスタムスクリプトは、スクリプトの作成と更新の制限を受けます。古いリストの画面に手製のスクリプトで動きを足している会社は、ページが対象外でもスクリプトは対象になる、と読んでください。

2027年3月1日以降に作れなくなるサイトのテンプレートも、Learnに一覧があります。発行ポータル、発行サイト、空白の発行サイト、エンタープライズWiki、エンタープライズ検索センター、サイトディレクトリ、ニュースホーム、製品カタログ、レポートセンター、トピックエリアの各テンプレートです。これ以外のクラシックのテンプレートは、この発行サイトの新規作成停止の対象外です。ページとスクリプトの制限は、テンプレートに関係なく効きます。

なぜCopilotの前に片づけるか

Microsoftが挙げる理由は、クラシックページとそのカスタマイズがサーバー側の描画とカスタムスクリプトに頼っていて、セキュリティのリスク、管理の複雑さ、保守の費用を増やす、というものです。モダンのSharePointが提供するものとして、より安全で統制の効いた協働環境、現在と将来のAIの機能の土台、モバイル対応、管理と長期の保守のしやすさ、の4つが挙げられています。

当社がこの変更をCopilot導入の文脈で見る理由は、ここにあります。オンプレミスのSharePointから移行してきた会社では、社内の手順書や規程がクラシックページに残っていることがあり、Copilotに読ませたい資料がそこにあります。読み取り専用になった後も人は閲覧できますが、Copilotがそのページを参照できるかどうかは、Learnの告知には書かれていないので、別に確かめる必要があります。確かなのは、2028年10月以降は直せないページを、社内の正本として置き続けることになる点です。手順が変わったときに、古いページが残ったまま新しいページが別の場所にできる。Copilotが古いほうを根拠に答える。これが、当社が避けたい状態です。

SharePointの手順をCopilotに渡す仕組みも、モダンのSharePointが前提です。手順書をクラシックページから動かす作業は、どの資料を正本にし、誰が更新するかを決める作業と重なります。当社は、棚卸しをその整理にも使うことを勧めます。

自社にどれだけ残っているかを調べる

Learnの「What you should do now」の最初の手順が、発見と評価です。道具は2つです。

1. Purviewの監査ログ。 監査ログの「SharePoint Classic Activities」のカテゴリに、ClassicPageCreated、ClassicPageEdited、ClassicPageViewedの3つのイベントがあります。誰が、どのクラシックページを、作ったか、編集したか、見たかが分かります。棚卸しの目的は数を数えることではなく、まだ使われているページを見つけることなので、このログが要ります。Purviewの監査ログの保持期間は自社の設定で決まるので、見られる期間を先に確かめてください。

2. Microsoft 365 Assessment Tool。 Microsoftが配布している評価の道具で、テナント内のクラシックページ、Webパーツ、カスタマイズの型、モダン化できるかどうかを洗い出します。評価の対象はSharePoint Onlineだけで、オンプレミスのSharePoint Serverは評価しません。クラシックページの評価を走らせる前の要件は、Learnの「Requirements for the classic pages assessment」にまとまっています。読み取り専用の権限を持つMicrosoft Entraのアプリを登録します。テナント全体を評価するには、証明書を使うアプリケーション認証が推奨で、Microsoft GraphとSharePointの両方にSites.Read.Allのアプリケーション権限を付けます。監査の利用状況は既定で一緒に集められ、そのためにMicrosoft GraphのAuditLogsQuery-SharePoint.Read.Allの権限と管理者の同意が要ります。集めない場合は実行時に省略の指定をします。集める期間は既定で14日、1日から180日まで指定でき、この監査の機能は道具の版1.16.0以降です。結果はCSVで出て、Power BIのレポートはWindowsで作ります。アプリの登録、管理者の同意、証明書の用意、監査が有効になっているかの確認を、実行の前に済ませてください。

Learnには、評価の結果、クラシック発行サイトも利用者が作ったクラシックページも影響を受けるカスタムスクリプトも無ければ、この変更に対して何もしなくてよい、と明記されています。クラウドから使い始めた会社でも、導入の経緯だけでは対象の有無は決められません。棚卸しは、何もしなくてよいことを確かめるためにも要ります。

どれから手をつけるか

残っていた場合、全部を一度に直す必要はありません。Learnは、編集の頻度が高い、閲覧が多い、業務上重要なページから始め、複雑さと変換の型でグループに分けて、代表的な波から移行して学びを次に使う、という進め方を勧めています。

棚卸しの結果をどの順に扱うかを決める2軸の図。横軸は2028年10月以降も編集が要るか、縦軸は閲覧されているか

当社は、監査ログの結果を2つの軸で置きます。横軸は、2028年10月以降も編集が要るか。縦軸は、今も閲覧されているか。

  • 閲覧があり、今後も編集が要るページは、最初に移行します。手順書やFAQがここに入ります。読み取り専用になってから困る順に並べます
  • 閲覧があるが、編集はもう要らないページは、そのまま残して読み取り専用を受け入れます。過去の社内報や、終わった案件のポータルです。残すと決めたことを一覧に書いておきます
  • 期間内に閲覧の記録がなく、編集が要るページは、所有者に利用の周期と今後の更新の必要性を聞きます。監査が有効だったか、収集が成功したか、検索した期間が業務の周期を含んでいるかを先に確かめてください。年に1度しか見ない手順書は、14日のログには出ません
  • 期間内に閲覧の記録がなく、編集も要らないページは、所有者に保存の必要性を聞いたうえで、アーカイブの場所に寄せるか消すかを決めます。Microsoftは削除しないので、整理は自社の判断です

移行の手段として、Learnはクラシックページの変換のガイダンスと、PnP PowerShellによる決定論的なページ変換を挙げています。標準の変換手順には対象の範囲があるので、自社のページの種類が含まれるかをガイダンスで確かめ、変換した結果は1枚ずつ検証します。カスタムのHTMLやスクリプトエディターの内容を含む複雑なページには、オープンソースのSharePoint Page Migration Agent(プレビュー)の評価を勧めていますが、プレビューとコミュニティの道具は複雑な場面を全部は自動化できず、MicrosoftのサポートSLAは無い、と注記されています。高度にカスタマイズされたページは、作り直しが要ることがあります。

注意点

消えると思って慌てないでください。 2028年10月1日以降も、ページは閲覧できます。削除も変更もされません。編集できなくなる、というのが正確な変化です。

2027年3月1日に起きることは2つです。 全テナントでクラシック発行サイトの新規作成が止まること。そして、その日以降に作られた新しいテナントでは、クラシックページの作成と編集、カスタムスクリプトの追加と更新が最初から制限されることです。既存のテナントのクラシックページが読み取り専用になるのは2028年10月1日です。

オンプレミスからの移行を計画している会社は、先に読んでください。 2027年3月1日以降、SharePoint Serverのクラシック発行サイトを、SharePoint Onlineに新しいクラシック発行サイトとしてそのまま移すことはできません。利用者が作ったクラシックページは移せますが、該当する段階で読み取り専用になり、スクリプトによる要素は保たれないことがあります。移行の計画にモダン化を含めてください。

リストとライブラリの表示やフォームそのものは今回の対象外ですが、埋め込んだカスタムスクリプトは今回の制限の対象です。 スクリプトの追加と更新が既定で無効になるので、リストの画面に手製のスクリプトで動きを足している会社は、今回の棚卸しで一緒に数えてください。表示やフォーム自体は、別の時期に扱われる可能性があるとLearnに書かれています。

KOIYALの見解

2028年10月は、2年先です。情報システム部門の予定表では遠い話に見えます。当社がいま書く理由は、棚卸しの結果で、やることの量がまるで変わるからです。残っていなければ終わり。残っていれば、所有者を探して、要るかどうかを聞いて、移す順番を決める、という人の仕事が始まります。この人の仕事は、期限の直前に詰めると雑になります。

Copilotを入れる会社には、もう1つ理由があります。Copilotに読ませる社内の正本がどこにあるかを決める作業と、クラシックページの棚卸しは、見る資料が重なります。当社は、Copilot導入の前の下地整備として、導入前の確認項目にこの棚卸しを含めることを勧めています。

次の行動

  1. Purviewの監査ログで「SharePoint Classic Activities」を検索し、直近の期間にClassicPageViewedが記録されたサイトを一覧にする
  2. Microsoft 365 Assessment Toolの要件を確認し、クラシックページの評価を1回走らせる
  3. 結果を、編集が要るか、閲覧があるかの2軸に置き、最初に移行する10ページを決める

棚卸しの結果をどう読み、Copilotの参照先をどこに決めるかを一緒に進めたい会社は、AI・DXコンサルティングをご覧いただくか、お問い合わせからご連絡ください。

参考