Copilot Studioで自動化を始めたい。社内の問い合わせ対応、申請の受付、毎週の報告。候補はあるのに、どの作り方を選べばよいか、月にいくらかかるか、Microsoft 365 Copilotのライセンスがあれば追加費用は要らないのか、調べるほど答えが割れます。

この記事は、30〜300人の会社で自動化を任されている情報システムの担当者と業務部門のリーダーに向けて、Copilot Studioの自動化を2026年10月30日時点の公式資料で整理します。扱うのは、Microsoft 365 Copilotのライセンスとの関係、1回あたりの単価、止まり方、日本語で使うときの注意、11月以降に予定されている変更です。なお、Microsoftは2026年8月にMicrosoft 365 CopilotをMicrosoft Copilotへ改名したとCopilot Credits Guide 2026年11月版に記載しています。この記事では、個人向けのMicrosoft Copilotと区別するため従来名で書きます。

結論を先に書きます。

  1. 最初の判断は、どのハーネスで作るかです。 2026年10月30日時点のCopilot Studioには3つのハーネスがあります。作成者がトピックと経路を設計する標準ハーネス、目的を渡すと自分で手順を組み立てるMicrosoft Copilotハーネス(8月3日に一般提供、10月28日まではGitHub Copilotハーネスという名前でした)、10月21日に発表された顧客対応ハーネスです。どれで作るかで、費用の桁と予測のしやすさが変わります。
  2. 「Microsoft 365 Copilotがあれば無料」は半分だけ正しい。 無料になるのは、ライセンスを持つ社員が自分のIDでTeamsやCopilotから使う会話型の利用と、エージェントが呼び出すフローまでです。メール受信や定時で勝手に動くフロー、コンピューター操作、Microsoft Copilotハーネスのエージェントはクレジットを消費します。
  3. 標準ハーネスの単価は小さい。 生成回答2クレジット、アクション5クレジット、フローは100アクションで13クレジット、従量課金では1クレジット0.01米ドルです(この記事の米ドルの試算はこの単価を使います)。社内の問い合わせ対応や申請の受付なら、月に数十米ドルで収まる計算になります。桁が変わるのはMicrosoft Copilotハーネスとコンピューター操作です。
  4. 11月に見るものが3つあります。 Ignite(11月17日〜20日)、ロードマップで11月に一般提供とされているエージェント専用のIDと共有プラグイン、そして12月1日からの購入条件の変更です。発表を待たずに、最初の1業務をいま決めておくと、11月の発表を受け身で読まずに済みます。

最初の判断はハーネス。3つの違いと、10月28日の改名

Microsoft Learnのハーネスの解説ページ(ms.date 2026年10月19日)は、ハーネスを「モデルと、あなたが設計したエージェントの間にある実行基盤」と説明しています。いつモデルを呼ぶか、何を渡すか、返ってきたものをどう解釈してどのツールを呼ぶかを決める層です。同じページに「どのハーネスで作るかは、課金、機能、できることに影響する」と書かれています。

ハーネス 向いている用途 動き方 課金 状態
標準ハーネス 社内ヘルプデスク、決まった手順のフロー 作成者がトピックと経路を設計する。生成オーケストレーションでツールと知識を選ばせることもできる 機能ごとの単価表。公開後に課金が始まる 一般提供
Microsoft Copilotハーネス(旧GitHub Copilotハーネス) 請求書を読んで発注書と見比べ、例外を承認に回すような複数ステップの業務 目的を渡すと手順を分けて実行し、失敗したら別の方法を試す。Word・Excel・PowerPoint・PDFを作成編集する。スキルとメモリーに対応 Copilot Creditsの使用量課金。作成を始めた時点から消費する 2026年8月3日に一般提供
顧客対応ハーネス Webチャットと電話での顧客対応、有人への引き継ぎ 専門のサブエージェントを複数組み合わせる Copilot Creditsの使用量課金 2026年10月21日発表。公開プレビュー

名前について、1点だけ先に押さえます。Microsoftは2026年10月28日のCopilot Studioブログで、GitHub CopilotハーネスをMicrosoft Copilotハーネスに改名すると発表しました。機能と課金は変わりません。Microsoft Learnの多くのページは10月30日時点でも旧名のままなので、この記事では両方を併記します。同じ発表に、Microsoft社内の評価の数字が3つ載っています。Microsoft Copilotハーネスの合格率は、標準ハーネスよりOpenAIのモデルで10.8ポイント、Anthropicのモデルで22.1ポイント高い。ツール呼び出しに失敗した後も84〜91%の場合で解決を試み続けた(標準ハーネスは7%未満)。モデル呼び出しの回数はほぼ2倍だが、キャッシュの効率で入力処理の正味の費用は15〜21%下がった。いずれも、条件により変わると補足のついた社内データです。

Learnのハーネスのページには、GitHub Copilotハーネスは「GitHub Copilotのサービスではない」と明記されています。エージェントが動くときに、顧客データはGitHub Copilotのサービスへ送られません。GitHub Copilotの契約も要りません。

自動化に使う5つの部品と、それぞれの単価

Copilot Studioで自動化を組むときに触る部品は5つです。単価はすべてMicrosoft Learnの単価表(Billing rates and management、ms.date 2026年10月27日)の値で、標準ハーネスのものです。

Copilot Studioの自動化を5段の階段で示した図。下から、エージェントが呼ぶフロー(100アクション13クレジット、ライセンス保有者は無料)、会話型の回答(生成回答2クレジット、ライセンス保有者は無料)、他のトリガーで動くフローと自律エージェント(アクション5クレジット、全アクション課金)、コンピューター操作(1ステップ5クレジット、ライセンスでも無料にならない)、Microsoft Copilotハーネス(1タスク100〜300クレジットから、作成時から課金)。上に行くほど人の判断を渡す範囲が広がり、費用の桁が変わる

イベントトリガー(自律エージェント)。 SharePointにアイテムが作られたとき、OneDriveにファイルが置かれたとき、Plannerのタスクが完了したとき、一定間隔(Recurrence)などで、利用者の入力なしにエージェントを動かします。トリガーが送るペイロードは「メッセージ」として課金の単位になり、10分ごとのRecurrenceなら10分ごとに1回数えます。トリガーそのものは「エージェントアクション」5クレジットです。Learnの解説ページに書かれている制約は3つです。認証に使えるのは作成者の資格情報だけで、公開すると利用者がその権限でデータに触れる恐れがある。生成オーケストレーションが有効なエージェントでしか使えない。連続して呼ぶアクションとトピックは15未満が目安。

エージェントフロー。 決まった順序で動く自動化で、手動・スケジュール・イベントのトリガーと、承認などの人の介在、分岐やループ、コネクタのアクションを並べます。課金は100アクションごとに13クレジットです。Learnのエージェントフローの解説(ms.date 2026年10月26日)によると、Power Automateのクラウドフローをエージェントフローへ変換できます。ただし課金がCopilot Studio側へ移るため一方通行で、元に戻せません。デザイナーとテストチャットからのテスト実行は容量を消費しません。

コンピューター操作(computer use)。 APIのないWebアプリやデスクトップアプリを、画面を見てマウスとキーボードで操作します。2026年5月に一般提供になりました。課金は1ステップ5クレジット、プレミアムモデルでは15クレジットです。Learnの例では、タイムシートの入力が4ステップで20クレジットです。実行用のWindowsマシンを用意し、資格情報はPower Platformの内部保存かAzure Key Vaultに置きます。保存した資格情報でパスワードを入力する機能は、Electron、Java、Citrixなどのアプリでは対応しない場合があると書かれています。

MCPサーバーとコネクタ。 MCPのツールとリソースに対応し、転送方式はStreamable HTTPだけです。MCPへの接続はPower Platformのコネクタ経由なので、データポリシー(DLP)がそのまま適用されます。Microsoft 365側では、2026年9月23日のリリースノートでFederated Copilot Connectors(データを保存せずリアルタイムに外部ソースへ到達する接続)が一般提供になりました。10月27日のリリースノートでは、管理者がMicrosoft 365管理センターでカスタムMCPコネクタを作り、全社に配布できるようになっています。

ナレッジ。 生成モードで参照できる数は、公開Webサイト25、SharePoint 25 URL、アップロード文書とDataverseとCopilotコネクタ経由の社内データは数の上限なしです。登録できる件数やファイルサイズ、保存容量の上限は別にあります。SharePointとDataverseは利用者のEntra IDで認証するので、その人が見られるものしか答えに使いません。テナントグラフのグラウンディング(セマンティック検索)は、Microsoft 365 Copilotのライセンスを持つ人にはデフォルトで有効です。ライセンスのない人向けに有効にすると、1メッセージ10クレジットかかります。

部品ではありませんが、入り口としてAgent Builderも押さえておきます。Microsoft 365 Copilotアプリの中で宣言型エージェントを作る簡易ツールで、以前はCopilot Studio liteと呼ばれていました。Learnの解説(ms.date 2026年10月26日)に、外部サービスと連携するアクションは作れず、コネクタやワークフローが必要ならCopilot Studioへコピーすると書かれています。Teamsのグループチャットと1対1チャットでは使えません。Agent Builderで作ったエージェントの生成回答は、テナントグラフのグラウンディングを使わない限り課金されません。

中小企業の3つの場面で、1回いくらになるか【試算】

ここからの数字は、公式の単価に当社が仮定した件数を掛けた試算です。実際の請求額は、エージェントの設計と会話の長さで変わります。

場面1。社内の問い合わせに一次回答し、必要ならチケットを起票する。 標準ハーネスで、SharePointの規程と手順書をナレッジにし、Teamsに公開します。回答で解決しなければ、エージェントが「エージェントがフローを呼び出したとき」トリガーのエージェントフローを呼び、Plannerにタスクを作って担当者に通知します。1回の会話を生成回答2回(4クレジット)、フロー呼び出しのアクション1回(5クレジット)、フローのアクション3つ(0.39クレジット)とすると約9.4クレジット、0.094米ドルです。月300件なら約2,820クレジット、約28米ドルです。ただし、問い合わせる社員がMicrosoft 365 Copilotのライセンスを持ち、自分のIDでTeamsから使うなら、この3項目はすべて「No charge」で、クレジットは減りません。

場面2。申請を受け付け、承認に送り、結果を通知する。 申請フォームの送信をトリガーにしたエージェントフローで、内容の確認、承認依頼、承認後の通知とSharePointリストへの記録まで8アクションとします。1回1.04クレジット、月200件で約208クレジット、約2米ドルです。承認待ちの時間は課金に無関係です。注意点は、この形のトリガーは「エージェントがフローを呼び出したとき」ではないので、ライセンスの有無にかかわらず全アクションが通常課金になることです。それでも額は小さく、費用より先に見るのは、承認者が不在のときの代理ルートと、記録の保存先です。

申請の受付から承認、通知までを、人の列とエージェントの列の2本で示した図。社員がフォームで申請すると、エージェントフローが内容を確認し、承認者に承認依頼を送り、承認者が承認か差し戻しを判断し、エージェントフローが結果を通知してSharePointのリストに記録する。8アクションで約1.04クレジット、月200件で約2米ドルの試算

場面3。毎週の報告を集めて要約し、チャネルに投稿する。 作り方が2つあります。1つは標準ハーネスの自律エージェントです。週1回のRecurrenceトリガー(5クレジット)、SharePointとPlannerからの取得にツール呼び出し3回(15クレジット)、要約の生成回答1回(2クレジット)で約22クレジット。月4回で約88クレジット、1米ドル弱です。安い代わりに、トリガーは作成者の資格情報で動き、言語の対応表では後述のとおり英語(米国)だけです。もう1つはMicrosoft Copilotハーネスのワークフローで、Copilot Credits Guideの目安では軽いタスクが1回100〜300クレジットです。月4回なら400〜1,200クレジット、4〜12米ドルで、まだ小さな額です。桁が変わるのは頻度と人数が増えたときで、1日10回を22営業日動かすと22,000〜66,000クレジット、220〜660米ドルになります。

補足。APIのない業務システムへの転記。 コンピューター操作で1回10ステップとすると50クレジット、0.5米ドルです。月400回で20,000クレジット、200米ドルで、25,000クレジットのパック(200米ドル、日本のサイトでは29,985円)に近い額です。Microsoft 365 Copilotのライセンスがあっても無料にはなりません。

場面 作り方 1回の試算 月の試算(仮定の件数)
問い合わせの一次回答+チケット 標準ハーネス+ナレッジ+フロー 約9.4クレジット 300件で約28米ドル。ライセンス保有者の利用は0
申請の受付→承認→通知 エージェントフロー8アクション 約1.04クレジット 200件で約2米ドル
週次報告の収集→要約→投稿 自律エージェント(標準) 約22クレジット 4回で約1米ドル
同上 Microsoft Copilotハーネスのワークフロー 100〜300クレジット 4回で4〜12米ドル。1日10回なら220〜660米ドル
APIのないシステムへの転記 コンピューター操作10ステップ 50クレジット 400回で200米ドル

自社の試算には、Microsoftが公開しているCopilot Studioのエージェント使用量見積もりツールが使えます。エージェントの種類、トラフィック、オーケストレーション、ナレッジ、ツールを選ぶと概算が出ます。公式の単価表には、注文受付で自律的に起動し4つのアクションを呼ぶ社内向けエージェントが1回20クレジットという計算例も載っています。

Microsoft 365 Copilotのライセンスで無料になる範囲

単価表の脚注に、無料になる条件が書かれています。社員向け(B2E)の利用で、エージェントを使う人がMicrosoft 365 Copilotのライセンスを持ち、エージェントがその人の認証済みのIDで動く場合です。この条件を満たすと、クラシック回答、生成回答、エージェントアクション、テナントグラフのグラウンディング、AIツール、文書処理は「No charge」です。エージェントフローは「エージェントがフローを呼び出したとき」トリガーで動く実行だけが無料です。他のトリガーで動くフローは、エージェントの呼び出しを含む全アクションが通常課金になります。公正利用の上限があります。

無料にならないものを並べます。コンピューター操作(脚注4に明記)、他のトリガーで動くエージェントフロー、Microsoft Copilotハーネスのエージェントとワークフロー(Learnの使用量課金の解説に、作成を始めた時点から消費すると明記)、顧客対応ハーネス、ライセンスのない社員による課金対象の機能の利用です。例外として、Agent Builderで作ったエージェントの、テナントグラフのグラウンディングを使わない生成回答は、ライセンスのない社員が使っても課金されません。

日本の検証記事が、この線引きの難しさを示しています。Qiitaの2026年5月28日の記事では、メール受信をトリガーにした自律エージェントからエージェントフローを呼ぶ構成が、環境にクレジットを割り当てていない状態で「The environment does not have sufficient Copilot Credits to run workflows」のエラーで拒否されました。同じエージェントでも、コネクタを直接呼ぶ構成は動き、従量課金を割り当てるとフローも成功しています。筆者は「365 Copilotライセンスがあるから大丈夫、とは言い切れない」と書いています。一方、JBS Tech Blogの2026年3月13日の記事では、Teamsチャネルへの投稿をトリガーにした自律エージェントを、ライセンスを持つ作成者が動かしています。結果は管理センターで「課金対象外Copilotクレジット」に計上され、追加の請求はありませんでした。構成が違えば結果が変わるので、公開前に、トリガーの有無、フロー呼び出しの有無、頻度、課金プラン、上限の5つを確認する手順にします。

従量課金の始め方にも、フォーラムで割れている点があります。Microsoft Q&Aの2026年3月の投稿では、従量課金だけを設定してデモサイトに公開したエージェントが「使用上限に達した」と表示されました。モデレーターは最低500クレジットの前払いを環境に割り当てる構成を勧め、別の参加者は公式の価格ページに従量課金の選択肢があるとして異議を述べ、4月時点で結論は出ていません。Learnの標準ハーネスのライセンスのページは、従量課金を「ライセンスの約束や前払いなしで始められる支払い方法」と説明しています。小さく作って最初の1か月の消費を見るのが、どちらの読み方でも安全です。

止まり方と上限。125%、100%、従量課金

容量を超えたときの動きは3通りあり、単価表のページに書かれています。

前払いのパックだけで運用している場合、テナントの前払い容量の125%に達するとカスタムエージェントが無効になります。進行中の会話は切れませんが、その後の呼び出しは「This agent is currently unavailable. It has reached its usage limit.」などの表示で拒否されます。通知は、管理者へのメールとPower Platform管理センターへの掲示の2経路です。

エージェントフローは別の動きで、前払い容量を使い切った時点で新しい実行がブロックされます。実行中のものは完了し、エージェント本体は会話に応え続けます。解除は月の更新のタイミングで、容量の再割り当て、追加購入、従量課金の有効化でも解消できます。Microsoft 365 Copilotのライセンス保有者の利用と、デザイナーやテストチャットからのテスト実行は対象外です。

従量課金を環境に紐付けている場合は止まらず、超過分がAzureのサブスクリプションに請求されます。止まらない代わりに、Power Platform管理センターの「ライセンス > Copilot Studio > エージェントの管理」で、エージェント単位の月間上限と自動停止を設定しておきます。上限に達してから停止するまでに時間差があり、エージェントが呼ぶエージェントフローの消費は別に見る必要があるので、請求額の厳密な天井にはなりません。推論モデルを使うエージェントは、指示が長い、ナレッジを大量に取る、会話が長いといった条件で、少数のメッセージでも多く消費します。単価表のページが勧める対策は、深い推論が要らない場面では推論モデルを使わない、指示とナレッジを絞る、話題が変わったら新しい会話を始める、の3つです。

中小企業の現実的な組み合わせは、従量課金を有効にして止まらないようにし、エージェント単位の上限と自動停止で目安の天井を作り、管理センターの消費レポートを月に1回見る形です。前払いのパックは未使用分が翌月に繰り越されないので、数か月は従量課金で実績を取ってから検討する順番が合います。費用の見方の詳しい話は、10月31日公開の記事(/blog/copilot-credits-for-executives)に書きました。

Power Automateが残る場所

Copilot Studioに自動化が寄ってきても、Power Automateのクラウドフローは消えません。単価表のページに、Power AutomateのクラウドフローはPower Automateのライセンスで動き、Copilot Creditsの課金と強制の対象外だと明記されています。標準コネクタだけで組めるフロー(Formsの回答をExcelかSharePointに記録してTeamsに通知する、など)は、Microsoft 365に付属する権利の範囲で今までどおり動きます。

使い分けの線は、エージェントに判断させる場面があるかどうかです。入力が決まっていて分岐も決まっているなら、Power Automateのクラウドフローのままでよく、変換しない選択が合理的です。エージェントに知識を引かせて答えさせたり、答えの内容で次の処理を変えたりするなら、Copilot Studio側に置き、フローはエージェントの道具にします。変換は一方通行なので、Copilot Studioの容量がある環境で、課金がどう変わるかを見てから行います。

Power Automate側は11月に変更が重なります。AI Builderのクレジットは11月1日から提供終了が進み(既存契約のクレジットは契約終了まで使え、その後はCopilot Creditsが要ります)、説明文からフローを作る機能(Describe it to design it)は11月30日で終了します。Power Automateの2026年の全体像は、11月4日公開の記事(/blog/power-automate-automation-2026)で別に書きます。毎週の仕事をなくす設計の考え方は、当社の記事(/blog/m365-weekly-tasks-automation)にまとめてあります。

日本語で使うときの注意点

Copilot Studioの言語の対応表(ms.date 2026年6月29日、更新 2026年10月17日)では、作成画面、生成回答と生成オーケストレーション、音声は日本語(ja-JP)に対応しています。一方、イベントトリガーの項には「English (United States) (en-US)」だけが並んでいます。日本語を主言語にして作ったエージェントで、SharePointやRecurrenceのトリガーがどう扱われるかは、今回の調査では公式の記載を確認できませんでした。JBSの検証はトリガーが動いた例ですが、エージェントの主言語は書かれていません。自律エージェントを日本語で計画している会社には、本番の前に、主言語を日本語にしたエージェントと英語にしたエージェントの両方でトリガーを試し、結果を残しておくことを勧めます。

Microsoft Copilotハーネスの言語とリージョンの対応は、公式ページが見つかりませんでした。2026年8月3日の一般提供の通知は「全世界」とだけ書いています。日本語での指示と日本語の文書の読み書きがどこまで安定するかは、作成時にクレジットを消費することも踏まえて、小さなワークフロー1本で確かめてから広げます。

管理の取っ掛かり。最初から決めておく4つ

自動化を1本作る前に、管理側で決めておくことが4つあります。

1つ目はIDです。Copilot StudioのWhat's newによると、2026年7月から新規のエージェントすべてにEntra Agent IDが自動で作られ、環境単位で無効にできなくなりました。エージェントを人と同じように一覧し、権限を付け、退職ならぬ廃止の手続きを決める前提が整っています。Agent 365は、社内のエージェントを一覧・管理・保護する製品で、エージェントを使うだけなら必須ではありません。

2つ目はトリガーの資格情報です。イベントトリガーとコンピューター操作のデフォルトは作成者の資格情報で、公開すると利用者が作成者の権限で動かせます。Learnは公開前に警告を出すと書いています。自律エージェントの作成者には、権限を絞った専用のアカウントを用意する判断が要ります。

3つ目はデータポリシーです。MCPへの接続はコネクタ経由なのでDLPがそのまま適用されます。管理者は、イベントトリガーを環境単位で止めることも、公開できるチャネルを制限することもできます。

4つ目は承認の流れです。Microsoft 365管理センターでのエージェントの公開承認は、Agent 365がなくてもできます。10月27日のリリースノートの、管理者がカスタムMCPコネクタを作って全社配布する機能は、現場が勝手にMCPを足す前に、情報システムが接続先を先に用意する手段になります。権限の決め方は、当社の記事(/blog/copilot-studio-agent-permissions-five-decisions)に5項目で書きました。エージェントを数える話は(/blog/agent-365-registry-count-agents-smb)にあります。

11月以降に予定されていること

まず前提として、Power PlatformとDynamics 365の年2回の「リリースウェーブ」はなくなりました。Microsoftは2026年8月25日に、ウェーブ方式をやめてAI at Work roadmap(旧Microsoft 365ロードマップ)へ随時掲載する方式に切り替えると発表しました。Release Plannerは11月15日で終了します。「2026年リリースウェーブ2の新機能」という記事があれば、古い枠組みで書かれています。

当社が2026年10月30日にロードマップの公開データから確認した、Copilot Studioの予定は次のとおりです。月はMicrosoftの表記で、遅れることがあります。

ID 項目 プレビュー 一般提供
577834 Microsoft 365管理センターでCopilot Studioのコスト管理 2026年10月
570430 エージェント専用のID(永続的なアイデンティティ) 2026年9月 2026年11月
570669 共有プラグインの検索と利用 2026年10月 2026年11月
570433 エージェント内で対話型のアプリ体験を表示 2026年10月 2026年11月
566999 エージェントやアプリから呼ぶフローの高速モード 2025年11月 2026年11月
571880 スキルカタログからの検索と追加 2026年9月 2026年10月
570432 実行結果から改善を提案する自己学習 2026年9月 2026年10月
571305 Purviewで保護された秘密度ラベル付き文書への対応 2026年10月 2026年10月
570434 ツール呼び出しに人の承認を必須にする設定 2026年9月(10月30日時点で開発中)
576272 Microsoft CopilotハーネスでのWebブラウジング(コンピューター操作) 2026年11月 2027年1月
570672 Work IQ: エージェントとフローを人の入力や承認で一時停止 2026年11月 2027年1月
567894 自律エージェントを利用者に実行専用で共有 2026年8月 2027年1月

ワークフローへのコンピューター操作の追加(562220)は、10月26日の更新でキャンセルになっています。

ロードマップとは別に、2026年10月15日のCopilot Studioブログは、Frontierプログラムで展開中の3つを示しました。エージェントが自分の資格情報でMicrosoft 365の中で働くエージェントアカウント。利用者の好みと業務の文脈を次の周期に引き継ぐ業務プロセスメモリー。メールなどの外部の信号か決めた周期でMicrosoft Copilotハーネスのエージェントを起動するトリガー。この3つです。今後数か月で、アクセスポリシーとコスト管理、エージェントの活動から改善を提案する機能、ブラウザ付きのクラウドコンピューターを足すと書かれています。

Igniteは11月17日から20日、サンフランシスコのMoscone Centerで開かれ、オンライン参加もあります。Copilot Studioの発表内容は公表されていないので、ここでは予想を書きません。見るべき点は3つです。上の表で11月に一般提供とされた項目が実際に出るか。Frontierの3機能が一般提供の日付を得るか。12月1日からMicrosoft 365の基本ライセンスなしでCopilotを買える契約が出ることが、Copilot Studioの利用者層にどう影響するか。

誤解されやすい3点

「自律トリガーは1回25クレジット」。 海外のライセンス解説サイトに残っている説明ですが、2026年10月27日更新の公式の単価表にその行はありません。トリガーは「エージェントアクション」5クレジットに含まれます。JBSの記事も、公式ドキュメントから自律トリガーの課金の記載が消えたことを指摘しています。

「GitHub CopilotハーネスにはGitHub Copilotの契約が要る、データがGitHubに行く」。 Learnのハーネスのページが別物だと明記し、顧客データはGitHub Copilotのサービスへ送られないと書いています。10月28日にMicrosoft Copilotハーネスへ改名されました。

「新しいハーネスも公開後に課金」。 標準ハーネスは公開後ですが、Microsoft Copilotハーネスは自然言語での作成、プレビュー、評価の時点から消費します。手作業の設定は消費しません。Copilot Credits Guideの目安では、作成が軽い場面で1〜20クレジット、中程度で21〜60、重い場面で61以上です。

KOIYALの見解

当社は、中小企業がCopilot Studioの自動化で最初に決めるべきことは、1業務のきっかけと成果物だと考えています。ツールの機能の比較は、その後で足ります。何が来たら動き、何を出して、誰が確認するか。この3つが文章で書けていれば、標準ハーネスのフローで足りるのか、エージェントに判断させるのか、Microsoft Copilotハーネスに任せるのかは、単価表を見れば決まります。逆に、この3つが書けていない業務に、目的を渡せば動くハーネスを適用すると、費用は読めず、結果の検証もできません。

費用の桁は、標準ハーネスのフローなら月に数米ドル、会話型で数十米ドル、Microsoft Copilotハーネスやコンピューター操作で数百米ドルという見当です。この差は、どこまで人の判断を渡すかの差です。渡す範囲を広げるほど、作成者の資格情報、承認の流れ、上限の設定が先に要ります。Gartnerは、FDEで構築したエージェント型AIを2028年までに7割の企業が放棄すると予測しています(当社の記事 /blog/fde-exit-strategy-gartner-70-percent)。分かれ目は、作る力より運用を引き取る体制の有無です。小さな業務を自社で1本作り、消費の実績と運用の手間を数字で持つことが、11月の発表を評価する基準になります。

次の行動

  1. 最初の1業務を選び、きっかけと成果物と確認者を文章にする。 問い合わせの一次回答、申請の受付、週次の報告のどれかから始めます。入力が決まっていて分岐も決まっているなら、Power Automateのクラウドフローのままでもよいと判断してかまいません。
  2. ハーネスと課金の確認を5項目で行う。 トリガーの有無、フロー呼び出しの有無、頻度、課金プラン(前払いか従量か)、エージェント単位の上限。従量課金を有効にし、上限を小さく設定して1か月の消費を見ます。
  3. 日本語のトリガーと作成者の資格情報を試してから公開する。 自律エージェントは、主言語を日本語と英語にした2つで動作を確かめ、作成者を権限を絞った専用のアカウントにします。

最初の1業務の選び方と、ハーネス、費用、管理の設定まで一緒に決めたい会社には、AI・DX支援で、業務のきっかけと成果物を書き出すところから伴走します。情報システムの担当者が自分で作れるようになることを目標に、設定の判断と検証の手順を一緒に残します。お問い合わせの本文に、自動化したい業務を1つと、Microsoft 365 Copilotのライセンスの有無を書いてください。初回の前に、ハーネスの候補と月額の試算を用意します。

参考