Copilot導入について経営者が判断を求められる場面が、この秋に増えています。情報システム担当からは「来月から買い方が変わるので、更新前に決めてほしい」と言われ、販売店からは「年内のプロモ価格で」と勧められ、社員からは「無料の Copilot Chat で十分では」と聞かれる。どれも一部は正しく、全体を見ないと答えが出ません。

この記事は、従業員 30 人から 300 人の会社の経営者に向けて、Microsoft 環境の AI について 2026 年 10 月 30 日時点で確かめた事実をまとめます。製品の全体像、2026 年 7 月の値上げと 12 月 1 日からの変更、効果の数字の読み方、2026 年に日本で起きた事故、そして社長にしか決められない 5 つのことです。価格は Microsoft の公式資料の米ドル表記を主にし、円は出典を添えます。

結論を先に書きます。

  1. Microsoft の AI は 3 段で見ると迷いません。 追加費用なしの Copilot Chat、300 人以下向けの有料版 Copilot Business、そしてエージェントを作って管理する層です。全員に同じ契約を配る必要はありません。
  2. 2026 年 12 月 1 日に買い方が変わります。 Copilot を Microsoft 365 の基本ライセンスなしで買えるようになり、販売店経由で新しく買う Copilot Business は従量課金がデフォルトで有効になります。上限は 1 人あたり月 4,000 クレジットで、管理者が変えられます。
  3. 生成 AI の利用率は、誰に聞いた調査かで倍以上違います。 全規模 1 万社の調査では 34.5%、デジタル化に着手済みの企業の管理職に聞いた調査では 86.4% です。自社で測る指標を先に決めないと、どの数字にも振り回されます。
  4. 2026 年の事故は 2 件とも、会社が許可していないサービスで起きました。 禁止のルールは必要ですが、禁止だけでは止まりません。会社のアカウントで使える AI を先に配り、外へ送る動きを止める設定を組み合わせます。

Microsoft の AI は 3 段。無料の Copilot Chat、有料の Copilot Business、作る層

Microsoft の AI 製品は名前が多く、ここで経営者の理解が止まりがちです。会社の規模が 300 人以下なら、3 段に分けると整理できます。

Microsoftの AI 製品を3段に分けた図。1段目は追加費用なしの Copilot Chat、2段目は300人以下向けの Microsoft 365 Copilot Business、3段目はエージェントを作って管理する Copilot Studio・Agent 365・Microsoft Foundry。下の段ほど多くの社員が使い、上の段ほど決めることが増える

1 段目は Copilot Chat です。Microsoft 365 の会社アカウントでサインインして使う AI チャットで、追加費用はかかりません。後で触れる EDP(企業データ保護)の対象で、プロンプトと回答は Exchange のメールや SharePoint のファイルと同じ契約条件で守られます。2026 年の料金と機能の改定では、Business Basic・Standard・Premium の Copilot Chat に受信トレイと予定表の把握、Word・Excel・PowerPoint のエージェント、Copilot Chat Analytics を順次追加すると案内され、機能の展開は 6 月から始まりました。Microsoft の Licensing News に「Enhancements include inbox and calendar awareness and access to Word, Excel, and PowerPoint agents」と明記されています。

2 段目は Microsoft 365 Copilot です。Microsoft は 2026 年 8 月にこの製品を Microsoft Copilot へ改名したと、Copilot Credits Guide 2026 年 11 月版の変更履歴に書いています。ただし Learn のリリースノートの多くは今も Microsoft 365 Copilot と表記しており、個人向けの Microsoft Copilot と混同しやすいので、この記事では従来名で書きます。300 人以下の会社向けには Microsoft 365 Copilot Business があり、Learn のライセンス解説は「It provides the same Microsoft Copilot capabilities, with licensing and purchasing options designed for small and medium-sized businesses」と、大企業向けと同じ機能だと明記しています。年契約で、1 テナントあたり 300 ライセンスまでです。Word・Excel・Outlook・Teams の中で動き、社内のメール・ファイル・会議の内容(Microsoft Graph)を使って答える点が Copilot Chat との違いです。

3 段目は 作って管理する層 です。自社のエージェントを作る Copilot Studio、社内で動くエージェントを一覧にして権限と監視をそろえる Microsoft Agent 365、開発者が自社システムに AI を組み込む Microsoft Foundry(Azure OpenAI を含む)がここに入ります。Agent 365 は 2026 年 5 月 1 日に一般提供が始まり、単体では 1 人あたり月 15 ドルです。2026 年 6 月 1 日以降に新しく買う場合、中小企業は Microsoft 365 Business Premium が前提になると Partner Center の 6 月の告知にあります。

価格を 1 か所にまとめます。米ドルは Microsoft の公式資料、円は販売店向け解説サイト Uravation が Microsoft の日本語ページを参照して掲載した値で、いずれも税抜です。

製品 1 人あたり月額(米ドル・年契約) 円の目安(Uravation の掲載値による)
Copilot Chat 追加費用なし(対象プランが必要) 追加費用なし
Microsoft 365 Copilot Business 21 ドル。プロモ 18 ドル(2026 年 12 月 31 日まで、販売店経由) 年払い 3,148 円、プロモ 2,698 円
Business Basic + Copilot Business 21 ドル(25% 引きのプロモ、2026 年 12 月 31 日まで) 未確認
Business Standard with Copilot 23.50 ドル(2026 年 7 月 1 日から常設) 年払い 3,523 円
Business Premium with Copilot 32 ドル(同上) 年払い 4,797 円
Microsoft 365 Copilot(300 人超向け) 30 ドル 年払い 4,497 円
Microsoft Agent 365 15 ドル(中小企業は Business Premium が前提) 未確認

Copilot Business の上に、仕事を丸ごと任せる Copilot Cowork のような従量課金の機能が乗ります。Microsoft の公式ブログ(2026 年 9 月 25 日)は、利用者単位のライセンスでチャットとアプリ内の Copilot を使い、Cowork・Code・Autopilot と最上位モデルは使った分だけの課金(UBB)にすると説明しています。Copilot Credits Guide は、利用者単位のサブスクリプションに Copilot Chat、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams の Copilot、Researcher・Analyst・Facilitator、Work IQ による社内データの参照、複数モデルの利用を含め続けると 27 ページで宣言しています。経営者が押さえるのは、座席料で使える範囲と、使った分だけ払う範囲の線 です。線の引き方と上限の決め方は、別の記事で Copilot Credits として詳しく書きます。

どの層を誰に配るかの考え方は、AI導入費用高いけど、いれたい。社員数別おすすめ導入手順に社員数別の手順として書いています。

2026 年 7 月に基本料金が上がり、12 月 1 日に買い方が変わる

Microsoft 365 の基本料金は 2026 年 7 月 1 日に上がりました。Licensing News の表から、中小企業に関係する行を抜き出します。

プラン(Teams あり) 改定前 改定後
Business Basic 6.00 ドル 7.00 ドル
Business Standard 12.50 ドル 14.00 ドル
Business Premium 22.00 ドル 22.00 ドル(据え置き)
Microsoft 365 E3 36.00 ドル 39.00 ドル

同じページに「Standalone Microsoft Teams and Copilot SKUs are not included in this update」とあり、Copilot 単体の価格はこの改定の対象外です。既存契約は更新日まで旧価格です。円建ての見積もりは契約期間と支払い頻度で値が変わるので、販売店の見積もりを比べるときは、どの条件の値かを必ず確かめてください。

次の節目は 2026 年 12 月 1 日です。Partner Center の 10 月の告知(10 月 1 日と 10 月 14 日)で、2 つの変更が案内されています。

1 つ目は購入の前提です。12 月 1 日から、Microsoft 365 Copilot と Copilot Business を Microsoft 365 の基本ライセンスなしで買える 新しい SKU が全チャネルで出ます。価格は今と同じで、現行の SKU は 10 月 16 日から名前に「(add-on)」が付き、販売店経由では 12 月 1 日に新規販売が終わります。既存契約はそのまま更新できます。告知には「Copilot experiences continue to depend on the Microsoft 365 apps and services a customer is licensed for」とあり、基本ライセンスなしで買えても、使える機能は契約しているアプリしだいです。

2 つ目は課金のデフォルトです。12 月 1 日から、販売店(CSP)経由で新しく買う Copilot Business は、単体でもセットでも 従量課金がデフォルトで有効 になります。デフォルトの上限は 1 人あたり月 4,000 Copilot Credits で、管理者が変えられます。告知は「a customer with 100 M365 Copilot Business users could consume up to 400,000 Copilot Credits per month under the default spending limit」と例を挙げています。Copilot Credits Guide によると Copilot Studio の従量メーターは 1 クレジット 0.01 ドルなので、4,000 クレジットは 40 ドル相当です。座席料 21 ドルの約 2 倍の枠が、何もしなくても付く計算になります。当初は 11 月 2 日の予定でしたが 12 月 1 日に延期され、オーストラリア・ドイツ・フランス・韓国など 11 か国では当面提供されません。日本は除外の一覧にありませんが、日本での開始日は告知に書かれていないので、販売店に確かめてください。

従量課金の管理は、Microsoft 365 管理センターの Copilot のコスト管理で行います。Learn の解説(2026 年 10 月 28 日更新)によると、支出ポリシーの「Auto-apply new services」は デフォルトで有効 で、今後追加される従量課金のサービスやエージェントにも同じポリシーが自動で適用されます。Microsoft 自身が「Review existing spending policies to determine whether automatic coverage is appropriate」と見直しを促しています。閲覧専用の役割もあり、経理や経営者が設定を変える権限なしに消費を確認できます。

販売店向けのプロモは 2 つあります。Copilot Business 単体の 18 ドルは、当初 6 月 30 日までだったものが 12 月 31 日まで延長されました。Business Basic との組み合わせの 21 ドルは、同じ 12 月 31 日まで実施する新しいプロモです。確かなのは 12 月 31 日という日付だけです。

利用率と効果の数字は、予測と調査を分けて読む

Copilot の効果として最もよく引用されるのは、Forrester が Microsoft の委託で 2024 年 10 月に出した中小企業向けの TEI 調査です。3 年間の ROI を 132% から 353% としていますが、題名に「Projected」とあるとおり、従業員 200 人・年商 3,500 万ドルの架空の合成企業に対する 予測 です。7 社 12 人へのインタビューと 266 人への調査をもとに、売上が最大 6% 増える、経費が最大 0.85% 減る、Copilot 利用者の離職が最大 20% 減る、という仮定を置いています。導入した会社の決算を後から確かめたものではありません。

日本の利用率の調査は、対象と設問の違いで数字が大きく変わります。帝国データバンクの 34.5% も「非常に活用」4.4% と「やや活用」30.2% の合計です。

日本企業の生成AI利用率とルール整備率を調査別に並べた棒グラフ。帝国データバンクの全規模1万社では34.5%、総務省の白書でデジタル化に着手済みの企業の管理職に聞くと86.4%、IPAのDX動向2026ではAIを導入している企業が42.3%、全社的なガイドラインを定めている企業が32.5%、AI独自のリスクマネジメントを実施している企業が14.2%

調査 対象 生成 AI を業務で利用
帝国データバンク(2026 年 3 月調査・5 月 14 日公表) 全国 23,349 社に調査、有効回答 10,312 社 34.5%(大企業 46.5%、中小企業 32.4%、小規模企業 28.0%)
総務省 令和 8 年版情報通信白書(2026 年 1〜2 月調査) 従業員 10 名以上で 2025 年までにデジタル化に着手した企業の管理職以上、日本 515 人 86.4%(n=477。2024 年度調査は 55.2%)
IPA DX 動向 2026(2026 年 4〜6 月調査・7 月 30 日発行) 1,799 社の経営層または ICT 部門 AI を導入 42.3%、試験利用 15.7%。生成 AI の導入は 2024 年度 22.6% から 2025 年度 44.0%

帝国データバンクの 34.5% と白書の 86.4% は矛盾していません。片方は全規模の会社に、もう片方はデジタル化を始めた会社の管理職に聞いています。自社がどちらに近いかで、参照する数字を選んでください。

中身の数字で経営者に関係が深いのは次の 3 つです。帝国データバンクでは、活用企業の 86.7% が効果を感じている一方、課題の上位は情報の正確性 50.4%、専門人材とノウハウの不足 41.3%、活用すべき業務の範囲 40.0% で、情報漏洩のリスク 33.5% より上にあります。IPA では、AI を導入・試験利用・導入検討している回答企業のうち、全社的な社内ガイドラインを定めている企業が 32.5%、AI や生成 AI 独自のリスクマネジメントを実施している企業は 14.2% にとどまります。白書では、業務変革について組織的な取り組みがないと答えた割合が日本 27.0% に対し米国 1.4% でした。IPA は本文で、AI の効果は業務効率化と迅速化が中心で、企業価値の創出への展開は限定的だと結論づけています。

海外の動きも、同じ 10 月に両方向の材料が出ています。Apollo Global Management のチーフエコノミスト Torsten Slok 氏は、S&P 500 から大手テック 7 社を除いた企業群の利益率と従業員 1 人あたり売上が横ばいだとして、AI はテック以外の米国企業に財務的な成果をもたらしていないと書きました(TechCrunch、2026 年 10 月 25 日)。一方で Uber は、約 1,000 人の試験を経て全従業員約 30,000 人に ChatGPT Work を配り、使われ方を追ってから次を決めると述べています(TechCrunch、2026 年 10 月 22 日)。Microsoft 自身も 10 月末に、米英加などの約 6 万人に希望退職を提示したと報じられました。これらの動きだけでは、自社での導入効果は判断できません。当社は、何を測って判断するか を導入前に決めることを勧めます。

FDE と呼ばれる外部エンジニアに作ってもらったエージェントを、2028 年までに企業の 7 割が手放すという Gartner の 2026 年 9 月の予測は、企業の7割がFDE製のAIを手放す、とGartnerで扱いました。作ってもらうなら、運用と改修を自社で引き取る体制を契約前に決める、という結論は今回も変わりません。

失敗は 3 つの型に分かれる

2026 年に公式フォーラムや報道で繰り返し出てきた失敗は、3 つに分けられます。

1 つ目は、利用条件の変更が現場に伝わらない型です。 Microsoft Tech Community では、2026 年 3 月 17 日に「Removal of Copilot Chat Availability in M365 Apps?!?」というスレッドが立ちました。Message Center の通知を受けた投稿者が、4 月 15 日以降に Word や Excel の中で Copilot Chat がどう残るのかを質問し、23 件の返信が付きましたが、Microsoft 社員の回答はありませんでした。4 月 30 日には 400 人未満の組織でアプリ内の Copilot が使えなくなったという報告があり、10 月 28 日には E3 の 4 席のテナントでまだ使えているという報告が続いています。線引きが利用者側に伝わらないまま運用が変わると、現場は「使えるのか使えないのか分からない」状態になり、利用が止まります。有料ライセンスを配る前に、誰が、どのアプリで、何を使えるのかを社内に 1 枚で示す必要があります。

2 つ目は、権限が広すぎたことが表に出る型です。 ビジネス+IT の 2026 年 6 月 25 日の記事は、Copilot を入れた会社で、過去の人事制度改定資料、未公開の役員会資料、買収検討のメモ、交渉中の見積もり、退職者とのやり取りが残るフォルダーが検索で出てくるようになった例を挙げています。記事が強調するのは、Copilot が権限を破ったのではなく、もともと権限が広すぎたものを、自然文の検索が見つけやすくしただけだという点です。対策は部門ごとの情報の分類と権限の棚卸しで、情報システム部門だけでは機密の線引きができないと書かれています。導入前に行うデータと権限の整備は、Copilotを導入するときに行うべきデータと権限の整備にまとめています。

3 つ目は、許可していないサービスに社員が情報を入れる型です。 パナソニック オペレーショナルエクセレンスは 2026 年 10 月 23 日、人事情報システムの導入プロジェクトで、会社が利用を禁止している外部の生成 AI サービスに、従業員・元従業員とその家族約 33 万 4 千人分の個人情報を含むデータがアップロードされたと公表しました。公表文はサービス名を明示していません。学習機能は無効で、削除後 30 日の保持期間を過ぎれば事業者側にも残らないという説明でしたが、個人情報保護委員会への報告と本人への対応は必要でした。RIZAP が 2026 年 9 月 3 日に公表した件では、同社の社員が、受託した特定保健指導のデータを許可されていない外部の生成 AI サービスにアップロードしました。委託元の共済組合の名前でも公表されています。2 件に共通するのは、禁止されていたのに起きた ことです。禁止のルールだけでは、個人のスマホや拡張機能の入っていない PC からの入力は止められません。この考え方は有料版AIなら会社の情報を入れてよい?シャドーAI対策に書きました。

3 つ目に関連して、Microsoft Q&A に 2026 年 6 月 9 日に投稿された質問も紹介します。Researcher のコンピューター操作機能で、OneDrive の機密ファイルを Copilot の環境内のブラウザーから Gmail などの外部サービスにアップロードでき、端末の DLP もプロキシの Gmail ブロックも発動しなかった、という投稿です。Microsoft の外部スタッフであるモデレーターは、この経路を DLP が検知・ブロックできるとはドキュメント上確認できないと回答し、質問は解決済みになっていません。AI に操作を任せる機能が増えるほど、人の端末を前提にした守りだけでは足りなくなります。

仕組みで押さえる 4 点。契約書より先に設定を見る

ガイドラインの文章を作る前に、Microsoft 365 の側で何が守られ、何がデフォルトで開いているかを経営者が知っておくと、判断が速くなります。4 点だけ挙げます。

  1. プロンプトと回答は学習に使われません。 Learn の EDP の解説は、会社で使う Copilot と Copilot Chat が DPA(データ保護追加条項)と製品条件の対象で、Microsoft はデータ処理者だと書いています。プロンプト、回答、Microsoft Graph 経由のデータは基盤モデルの学習に使われません。
  2. ただし Web 検索のクエリは別扱いです。 同じページに、Bing へ送る検索クエリは利用者とテナントの識別子を外して送るものの、Bing は Microsoft 365 とは別のサービスで、Microsoft は独立したデータ管理者になる、とあります。HIPAA の BAA と EU Data Boundary も Web 検索クエリには及びません。社外秘を含む質問で Web 検索を使わせるかどうかは、設定で決める事項です。
  3. 個人契約の Copilot を会社の文書に使える設定は、未設定なら有効です。 Learn の「Multiple account access」によると、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・OneNote で個人アカウントと会社アカウントの両方にサインインしていると、個人契約の Copilot を会社の文書に使えます。Cloud Policy の「Multiple account access to Copilot for work documents」を有効にするか未設定のままなら使える状態で、止めるには無効に設定します。この場合も保護はファイルを開いた会社アカウントの条件に従い、社内の Graph にはアクセスできません。
  4. Anthropic のモデルは日本ではデフォルトで有効です。 Learn の「Anthropic models in Microsoft Online Services」によると、Anthropic は Microsoft のサブプロセッサーとして DPA と EDP の対象で、EU・EFTA・英国を除く商用クラウドではデフォルトで有効です。「with Data Retention」と表示されるモデルは別扱いで、Microsoft の DPA の対象外、全地域でデフォルト無効、管理者が明示的に有効化したときだけ使えます。使ってよいモデルを決めるのは、管理センターの Copilot の設定にある AI providers の項目です。

このほか、秘密度ラベルと DLP、監査ログと保持ポリシーは Microsoft Purview で Copilot にも有効です。どの機能が Business Premium で足り、どれに上位の契約が要るかは、販売店か Microsoft に確かめてください。

社長にしか決められない 5 つ

ここまでの事実から、情報システム担当や販売店に任せられないことを 5 つに絞ります。いずれも、部門をまたぐか、お金の上限を決めるか、責任の所在を決める判断です。

決めること なぜ社長の仕事か 根拠になる事実
どの情報を AI に渡してよいか(データの区分) 機密の線引きは部門をまたぎ、情報システムだけでは決められない ビジネス+IT の権限の事例、JDLA の報告書Ⅱ(2026 年 2 月 3 日)は Microsoft 365 Copilot でも条件次第で個人データの入力が可能と整理
誰に有料ライセンスを配るか 効果は業務効率化が中心で、配る先で差が出る。利用条件の変更が伝わらないと使われなくなる IPA DX 動向 2026 の結論、Tech Community の事例
従量課金の月の上限 12 月 1 日以降はデフォルトで上限が付き、新サービスにも自動適用される Partner Center 10 月告知、Learn のコスト管理
教育に使う予算と時間 課題の上位が人材とリテラシー 帝国データバンク 41.3%、IPA 50.1% と 45.8%
エージェントを作って社内で共有してよい人と、承認の流れ AI 事業者ガイドライン第 1.2 版(2026 年 3 月 31 日)が、エージェントの権限設定と人の判断の介在を求める 総務省・経済産業省の改定、Agent 365 の前提ライセンス

5 つを、元に戻しやすいかどうかと、費用の大きさで並べると、着手の順番が見えます。データの区分は一度決めると全部の設定がそれに乗るので、最初に決めます。ライセンスの配布と従量課金の上限は、後から増やしたり減らしたりできるので、小さく始めて数字を見ながら動かします。エージェントの承認の流れは、費用は小さいのに後から変えにくいので、最初の 1 体を作る前に決めておきます。

Agent 365 を含めた「エージェントを数える」仕組みは、Agent 365でエージェントを数えるで、中小企業の手順として書きました。

社長が決める5つのことを、元に戻しやすいかと費用の大きさの2軸で4つに分けた図。戻しにくく費用も大きいのはデータの区分で最初に決める。戻しにくく費用が小さいのはエージェントの承認の流れで最初の1体の前に決める。戻しやすく費用が大きいのはライセンスの配布先と従量課金の月の上限で小さく始めて動かす。戻しやすく費用が小さいのは教育の時間で毎月見直す

11 月 17 日からの Ignite で見るもの

Microsoft Ignite 2026 は 11 月 17 日から 20 日にサンフランシスコで開かれ、デジタル参加もできます。経営者が会期後に販売店や情報システム担当に聞く項目を 3 つ挙げます。

  1. 12 月 1 日の新 SKU と従量課金のデフォルト有効化が、日本で同じ日に始まるか
  2. Copilot Business の 18 ドルのプロモが 12 月 31 日で終わるか、延びるか
  3. Agent 365 と Copilot のコスト管理に、自社が使う予定のエージェントが含まれるか

この 3 つは、いずれも自社の契約更新日と結びついた質問です。発表のニュースを追うより、更新日から逆算して聞くほうが、判断の材料になります。

KOIYALの見解

Copilot の導入で経営者に求められているのは、製品の選定ではなく、会社の情報と費用と責任についての 5 つの決めごとだと考えています。製品は 3 段に整理でき、価格は公式資料に書いてあります。決まっていないのは、どの情報を渡し、誰に配り、いくらまで使い、どれだけ教育に時間を割き、誰がエージェントを承認するかです。この 5 つを決めれば、情報システム担当は設定に落とせますし、販売店は見積もりを出せます。

2026 年の 2 件の事故は、どちらも禁止されたサービスで起きました。当社は、禁止のルールを細かくするより、会社のアカウントで使える Copilot Chat を全員に配り、そのうえで外へ送る動きを止める設定と、短い教育を組み合わせるのが現実的だと考えています。対象プランを契約済みなら、Copilot Chat の基本利用に追加のライセンス料はかかりません。教育と、設定と運用の工数は別に見積もります。

数字については、Forrester の予測も日本の調査も、自社の判断の代わりにはなりません。導入前に、作業時間、利用者数、2 週間後と 2 か月後の定着率の 3 つを決めて、自社で測ることを勧めます。測る指標が決まっていれば、Ignite の発表も 12 月の変更も、自社に関係があるかどうかをすぐ判断できます。

次の行動

  1. 自社の契約更新日と購入経路を確かめます。 直販か販売店経由か、Business Basic・Standard・Premium のどれか、年払いか月払いか。この 3 つが分からないと、12 月 1 日の変更が自社に関係あるかどうかを判断できません。
  2. 5 つの決めごとを 1 枚の表にします。 データの区分、ライセンスの配布先、従量課金の月の上限、教育の時間、エージェントの承認の流れ。空欄があってもよいので、まず表を作り、誰が埋めるかを決めます。
  3. Copilot Chat を全員に配る前に、3 つの設定を情報システム担当に確認します。 個人契約の Copilot を会社の文書に使える設定、Web 検索の扱い、使ってよい AI モデルの一覧です。

5 つの決めごとを自社の契約と業務にあわせて埋めるところから手伝ってほしい場合は、AIコンサルティングの初回の打ち合わせで、表の叩き台を一緒に作ります。お問い合わせの本文に、契約しているプランと社員数、いちばん心配なことを 1 つ書いていただければ、初回の前に当社で表の案を用意します。

参考